内方次元界

内方次元界

内方次元界（Inner Planes）は、ダンジョンズ&ドラゴンズ（D&D）における多元宇宙の根源をなす次元界の総称です。物質界を構成する四大元素（風、火、水、地）と、生命の源となるエネルギーを供給する役割を担っています。

元素界

元素界は、四大元素それぞれが無限に広がる世界です。

風の元素界: 地表がなく、空気のみで満たされた無限の空間が広がります。
水の元素界: 海面も海底もない、どこまでも続く海の世界です。
地の元素界: 無限の固体（地）で満たされた地下世界です。
火の元素界: 全てが燃え盛る炎の世界です。

元素界は、物質界に不可欠な元素を供給する一方で、その過酷な環境は物質界の住人にとって脅威となります。無防備な状態で足を踏み入れれば、命を落とす危険性があります。

エネルギー界

エネルギー界は、生命と死をもたらすエネルギーが満ちた世界であり、正のエネルギー界と負のエネルギー界が存在します。

正のエネルギー界は創造と活力の源であり、負のエネルギー界は停滞、エントロピー、そしてアンデッドの本拠地です。

エネルギー界は物質的な構成要素を持たず、エネルギーそのものが形を成している点で特異です。全ての生命（あるいは非生命）はエネルギー界に依存していますが、原住生物は一般的ではありません。

負のエネルギー界

負のエネルギー界は、生命力を吸い取る危険な世界であり、アンデッドと深いつながりがあります。死霊術の呪文やアンデッドの能力はこの次元界を利用しています。

正のエネルギー界

正のエネルギー界は、創造と活力に満ち溢れていますが、過剰なエネルギーは生物を破裂させる危険性も孕んでいます。アンデッドに害を及ぼす呪文は、この次元界のエネルギーを利用します。

各版における設定の変遷

D&Dの版を重ねるごとに、内方次元界の設定は変化してきました。

第1版: 四大元素界と正・負のエネルギー界が存在しました。
第2版: 複合元素界と準元素界が導入され、次元界同士の関係性がより複雑になりました。正八面体を用いてこれらの関係を説明することが試みられました。
複合元素界：煙、氷、泥土、溶岩など。
準元素界：電光、鉱物、光輝、蒸気、真空、塵、灰、塩など。
第3版: 複合元素界と準元素界は削除され、内方次元界は互いに独立しているとされました。しかし、後の資料では接触がある場合もあるとされました。
第4版: 内方次元界は「元素の渾沌」と呼ばれる次元界に置き換えられ、負のエネルギー界はシャドウフェルと結合されました。
第5版: 第3版と第4版の設定を複合したような形となり、四元素界が「元素の渾沌」の中に浮かんでいるとされています。正・負のエネルギー界は、他の次元界を覆う「正の次元界」「負の次元界」へと移行しました。

出版履歴

内方次元界の概念は、D&Dの歴史と共に発展してきました。初期の版ではシンプルな構造でしたが、版を重ねるごとに複雑さを増し、多様な設定が追加されていきました。

ゲイリー・ガイギャックスによる最初のモンスター・マニュアル （1977年）において、掲載されたエレメンタルはファイアー・エレメンタル、エアー・エレメンタル、ウォーター・エレメンタル、アース・エレメンタルだけであった。
複合元素界はディーアティーズ・アンド・デミゴッズ （1980年）に掲載された。
* 1983年に出版された、EX2 ザ・ランド・ビヨンド・ザ・マジック・ミラー は電光の準元素界の初登場を特色とした。

内方次元界は、D&Dの多元宇宙を理解する上で重要な要素であり、その変遷を辿ることで、D&Dの世界観の奥深さを知ることができます。

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