内藤真人

愛知県豊田市に生まれ、1980年7月31日に生を受けた内藤真人（ないとう まさと）は、日本の陸上競技界において110メートルハードルの第一線で長く活躍した選手である。卓越したハードリング技術とスピードを武器に、国内外の主要大会で輝かしい成績を残した。

中京大学附属中京高等学校で頭角を現し、法政大学に進学してさらに才能を開花させた。大学在学中の2001年には、110メートルハードルにおいて学生記録を三度も塗り替える驚異的な成長を見せた。同年10月には、それまでの日本記録をも更新する13秒50をマークし、日本のトップハードラーとしての地位を確立した。

大学卒業後はミズノに所属し、競技生活を続けた。実業団選手となってからも、内藤の勢いは衰えることはなかった。特に日本選手権においては、2001年の初優勝を皮切りに、2005年、2006年、2007年、2008年と、合計五度の優勝を飾る圧倒的な強さを見せた。この間には、大会記録も複数回更新している。

国際大会での活躍も目覚ましい。世界陸上競技選手権大会には、2001年（エドモントン）、2003年（パリ）、2005年（ヘルシンキ）、2007年（大阪）と、四大会連続で出場し、いずれも準決勝まで駒を進めた。日本のハードル界において、継続的に世界の舞台で戦い続けた稀有な存在と言える。また、四年ごとに開催されるスポーツの祭典、オリンピックにも二度出場している。2004年のアテネオリンピックでは二次予選に進出し、続く2008年の北京オリンピックにも日本代表として出場した。アジア地域でも実績を残しており、2005年のアジア選手権では4位に入賞、2006年のアジア大会（ドーハ）では銅メダルを獲得し、日本のハードル種目の国際的なプレゼンスを高めた。

自己記録としては、2007年5月19日に110メートルハードルで13秒43をマークした。この記録は、現在も日本歴代の上位に位置するハイレベルなものである。また、室内競技である60メートルハードルにおいても、2008年3月8日に7秒75の記録を残しており、これはかつて室内日本記録であった。

選手としてのピークを越え、2012年に競技生活から退いた。長きにわたり日本のハードル界を牽引してきた内藤は、その経験を後進の指導に生かすべく、新たな道を歩み始めた。

2015年からは、城西大学附属城西中学・高等学校において、陸上競技部の指導にあたっている。山村貴彦氏らと共に、未来を担う若いアスリートたちの育成に情熱を注いでいる。選手として培った技術や精神論を伝え、多くの選手を育てることが期待されている。

内藤真人は、学生時代からの輝かしい成績と、日本選手権五連覇（間に途切れはあるが通算）を含む複数回の優勝、そして度重なる国際大会での活躍により、日本の110メートルハードル界に確固たる足跡を残した選手である。その記録と経験は、日本のハードル界にとって貴重な財産となっている。

主な成績:

2000年 日本選手権 6位 (13秒96)
2001年 日本選手権 優勝 (13秒65、大会新)
2001年 エドモントン世界陸上 (準決勝)
2003年 日本選手権 3位 (13秒88)
2003年 パリ世界陸上 (準決勝)
2004年 日本選手権 3位 (13秒68)
2004年 アテネオリンピック (2次予選)
2005年 日本選手権 優勝 (13秒61、大会新)
2005年 ヘルシンキ世界陸上 (準決勝)
2005年 アジア選手権 4位
2006年 日本選手権 優勝 (13秒68)
2006年 ドーハアジア大会 3位 (銅メダル)
2007年 日本選手権 優勝 (13秒55、大会新)
2007年 大阪世界陸上 (準決勝 13秒58)
2008年 日本選手権 優勝 (13秒66)
2008年 北京オリンピック (1次予選)
2009年 日本選手権 3位 (13秒81)
2010年 日本選手権 5位 (13秒82)
2011年 日本選手権 (決勝途中棄権)

自己記録:

110メートルハードル：13秒43 (2007年5月19日、日本歴代上位)
* 60メートルハードル (室内)：7秒75 (2008年3月8日、元室内日本記録)

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