円墳

円墳：日本の古代を語る円い丘

円墳とは、古墳時代において盛んに築造された、墳丘の平面形状が円形である古墳を指します。数メートルから百メートルを超えるものまで、その規模は様々ですが、中小型のものが多くを占めています。前方後円墳のような複雑な形状とは異なり、円墳は比較的シンプルな構造を持つため、時代による形態の変化は明確ではありません。

円墳の特徴と時代的変遷

古墳時代前期から後期にかけて築造され、その形態は時代によって微妙な変化を見せています。前期や中期の円墳では、墳頂部に墓壙（ぼこう）を掘るため、墳頂部が比較的平坦なものが多く見られます。一方、後期になると、土饅頭（どまんじゅう）のような形状、つまり墳頂部が狭く、墳高が高い円墳が増加する傾向が見られます。特に横穴式石室を持つ後・終末期の円墳は、この傾向が顕著です。

円墳に造出（ぞうしゅつ）と呼ばれる突起物を付けたものを、帆立貝形古墳と呼びます。前方後円墳の前方部が小さいものを円墳と解釈することもありますが、造出の規模が小さいものは円墳に分類されることが多いです。

日本最大の円墳：富雄丸山古墳

長らく、埼玉古墳群にある丸墓山古墳（墳径105メートル）が日本最大の円墳とされてきました。しかし、2017年に行われた奈良県奈良市にある富雄丸山古墳の測量調査の結果、従来の直径86メートルという計測値が誤りであり、実際には直径110メートル前後に及ぶことが判明しました。この結果、富雄丸山古墳が日本最大の円墳となる可能性が高まっています。なお、比較として、日本最大の前方後円墳である大山古墳の後円部の直径は250メートルに達し、後円部径が100メートルを超える前方後円墳は約50基存在します。

各地の円墳：地域ごとの特徴

全国各地には、様々な規模と特徴を持つ円墳が数多く存在します。以下、地域別に代表的な円墳をいくつか紹介します。

東北・北海道地方

江釣子古墳群（岩手県）：直径10メートル前後の小規模な円墳約120基からなる群集墳。
高瀬山古墳（山形県）：周溝を持つ円墳。
小塚古墳（宮城県）：雷神山古墳に隣接する大型円墳。
甲塚古墳（福島県）：高さ約8.2メートルの円墳。

関東地方

車塚古墳（栃木県）：終末期の円墳。
埼玉丸墓山古墳（埼玉県）：かつて日本最大とされた円墳。
甲山古墳（埼玉県）：大型の円墳。
芝山古墳群（千葉県）：複数の円墳からなる群集墳。
車塚古墳（茨城県）：大型の円墳。

北陸地方

城の山古墳（新潟県）：
水科古墳群（新潟県）：群集墳。
兜山古墳（福井県）：福井県最大の円墳。
春日山古墳（福井県）：

中部・東海地方

兜塚古墳（静岡県）：静岡県最大の円墳。
八幡山古墳（愛知県）：東海地方最大の円墳。

近畿地方

富雄丸山古墳（奈良県）：日本最大級の円墳の可能性が高い。
文殊院西古墳（奈良県）：大型円墳。
牧野古墳（奈良県）：大型円墳。

中国地方

スクモ塚古墳（島根県）：大型円墳、または前方後円墳の可能性もある。
上塩冶築山古墳（島根県）：
上塩冶地蔵山古墳（島根県）：
明神古墳（島根県）：
三明寺古墳（鳥取県）：山陰地方最大級の横穴式石室を持つ円墳。
岡田山2号墳（島根県）：2段築成の大型円墳。

四国地方

段の塚穴（徳島県）：複数の円墳からなる。

九州・沖縄地方

千代丸古墳
* 権現塚古墳（福岡県）：二重の周濠を持つ円墳。

これらの円墳は、それぞれ独自の規模や特徴を持ち、当時の社会構造や文化を反映しています。現在も発掘調査や研究が続けられ、新たな発見が期待されています。

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