円山応瑞

円山応瑞：円山派を継承した二代目

円山応瑞（まるやまおうずい、1766-1829）は、江戸時代後期の日本画家です。かの有名な円山応挙の長男として生まれ、円山派の2代目を継承しました。源氏を名乗り、字は儀鳳、通称は卯三郎、右近、のちに父と同じ主水を名乗りました。怡真堂という号も用いています。

応瑞の芸術家としてのキャリアは、22歳（1787年）に父や弟子たちと共に大乗寺の障壁画制作に参加したことから始まります。この際、応瑞は応挙が描いた下絵を基に制作を行いました。その後も、1790年の内裏造営にも携わり、常御殿御寝間の三の間に「四季海辺」を描いています。この作品の一部は現在も相国寺開山堂に残されています。また、小下絵は百耕資料館が所蔵しています。

1807年には、父応挙の13回忌を主催しています。様々な史料から、応瑞の生活状況も垣間見えます。例えば、『平安人物誌』によると、応挙の存命中、家族は四条堺町東入町に住んでいましたが、応挙の死後には姉小路両替町西に移転しています。この転居は、経済的な理由による家勢の衰えを示唆していると考えられます。また、『平安画工視相撲』という書籍には、文化10年（1813年頃）に、松村景文、原在正、原在明、土佐備後介、土佐左近将監らと共に相撲の行司として名を連ねています。

応瑞の画風については、白井華陽の『画乗要略』に「家法を守る」と評されている通り、父応挙の画風を忠実に継承したとされています。そのため、画家としては弟の円山応受や甥にあたる三代目の円山応震の方が優れていると評価されることも少なくありません。しかしながら、応瑞の作品には、応挙の作品にはないシャープさが見られ、特に小品には小気味良い印象を与えるものもあります。『古今墨跡鑒定便覧』では、応瑞の砂子の技法を高く評価しています。

応瑞は、円山派の伝統を守り、家督を継承することに尽力しました。応挙ほどの輝かしい功績は残せませんでしたが、円山派の歴史において重要な役割を果たしたことは間違いありません。彼の作品は、応挙の画風を丁寧に受け継ぎながらも、独自の個性を垣間見せる、興味深いものです。応瑞の墓所は、父応挙と同じ悟真寺にあります。応瑞の死後、円山派は甥の円山応震が継承しました。弟子には多村挙秀などがいます。応瑞の作品を通して、円山派の伝統と、時代の変化の中で生きた一人の画家の姿を垣間見ることができます。

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