円谷皐

円谷皐（つぶらや のぼる）

円谷皐（1935年5月10日 - 1995年6月11日）は、日本の特撮界において名を馳せた円谷プロダクションの第3代社長であり、プロデューサー、演出家、歌手、作詞家としても知られています。彼は「谷のぼる」という別名でも活動していました。

来歴

円谷皐は円谷英二の次男として生まれ、円谷一（円谷プロ第2代社長）が兄、円谷粲（円谷映像社長）が弟、円谷一夫（円谷プロ第4代社長）が息子です。彼は玉川学園を卒業し、フジテレビに入社してからは、特撮番組の演出やプロデューサーとしての経験を積みました。

1954年に成城大学文芸学部に入学し、演劇に情熱を燃やしていました。卒業後はフジテレビに配属され、「映画部」でディレクターとして活躍。その後、円谷英二を父に持つことから、円谷特技プロダクションに深く関与することになります。

1963年に円谷特技プロダクションが設立され、彼は監査役としてその運営に携わりました。最初の頃は、壮大なSF特撮番組「WOO」を企画しましたが、フジテレビ側の事情で頓挫しました。しかし、この経験は後の「ウルトラQ」の制作に活かされることになります。

1968年にはフジテレビを退社し、円谷特技プロの経営に着手。一時は資金繰りのために社員を削減し、業界の優れた人材も失うという困難も経験しましたが、怪獣ブームの再来により事業は好転し、成功を収めることができました。

円谷プロ社長として

1973年、兄の急逝を受けて社長に就任。その後、「ウルトラマンタロウ」などの制作を通じて、「第二次怪獣ブーム」の発展に寄与しました。1974年には「ウルトラマンレオ」をプロデュースしましたが、第一次オイルショックの影響で再び経営危機に直面しました。円谷皐は新たな市場への進出を試み、アニメブームに乗じて初のアニメ作品「ザ☆ウルトラマン」を1979年に制作しました。

1980年代後期には「ウルトラマンUSA」などの国際的なプロジェクトに挑戦しました。しかし、これらの試みは必ずしも成功に結びつくことはなかったものの、今も続くウルトラシリーズの拡充に貢献しました。

特に、1990年以降は多様なキャラクター商品展開やCM出演を通じて円谷プロのビジネス全般に多大な影響を与えました。また、ウルトラマンフェスティバルの継続的な企画にも力を注ぎました。

1995年に60歳で胃癌のため亡くなるまで、彼の影響力は決して小さいものではありませんでした。彼の功績は後の世代に引き継がれ、円谷プロダクションは今なお多くのファンに愛されています。

人物・逸話

円谷皐は豪邸や豪華マンションを購入し、豪華な生活を送った一方で、経営上の困難も経験しました。「ウルトラマン80」の製作においては、TBSとの方針の違いが原因でトラブルも起きましたが、彼自身はこの作品に特別な思い入れを持っていたと言います。

彼の遺言には、円谷一夫を盛り立てることを述べ、円谷英明を排除するように指示したとされています。最終的に、彼の長い業界経験と独特のビジネスセンスが円谷プロを支えたことは、彼にとって誇るべき遺産となったことでしょう。

ディスコグラフィー

歌手としても活動していた彼は、1991年に「素敵な出逢いを有難う」でデビューを果たしました。「NHK紅白歌合戦に出たい」という夢を持っていた彼の音楽活動も、多くのファンに支持されました。彼の作品は今でも多くのリスナーに親しまれています。

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