円鏡寺

円鏡寺

円鏡寺は、岐阜県本巣郡北方町に位置する高野山真言宗の別格本山です。池鏡山を山号とし、本尊として木造の聖観音菩薩立像と不動明王立像を祀ります。東海三十六不動尊の第三十二番札所であり、美濃七福神の一つである弁財天も祀られています。寺内には多くの文化財が保存されており、「美濃の正倉院」とも呼ばれています。また、美しい庭園も円鏡寺の魅力の一つです。

歴史

寺伝によれば、円鏡寺は811年（弘仁2年）に嵯峨天皇の勅命により空海によって創建されたとされています。当初は不動明王を本尊とする定照寺という名前でしたが、後に補陀落上人によって聖観音菩薩が安置され、補陀落院と改称されました。988年（永延2年）には、良祐によって現在の伽藍の基礎が築かれ、一条天皇から「池鏡山　円鏡寺」の名を授かりました。この寺号は、境内に池を造った際に出土した明鏡を献上したことに由来します。

1731年（享保16年）の火災で観音堂が焼失しましたが、1741年（寛保元年）に再建されました。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった歴代の権力者からも保護を受け、朱印状も与えられていました。1914年（大正3年）には楼門が修築されています。

伽藍

円鏡寺の境内には、以下のような堂宇が配置されています。

本堂（観音堂）: 本尊の聖観音菩薩が安置されています。
三重塔: 寺のシンボルとしてそびえ立ちます。
魚供養観音菩薩: 高さ15mの巨大な像で、国内で14番目に大きいとされていますが、建立年は不明です。
聖徳太子堂: 聖徳太子を祀るお堂です。
鐘楼: 時を告げる鐘が吊るされています。
弁天堂: 美濃七福神の弁財天が祀られています。
薬師堂: 薬師如来を祀り、人々の病気平癒を祈願します。
忠魂堂: 戦没者を祀っています。

文化財

円鏡寺には、国や県、北方町から指定された数多くの文化財があります。

国指定重要文化財

楼門: 1296年（永仁4年）建立の入母屋造、檜皮葺の楼門は、明治神宮の南楼門のモデルになったと伝えられています。大工は八重則光、小工は八重則定が担当しました。1909年（明治42年）に重要文化財に指定されました。
木造聖観音立像: 平安時代に作られた像高166.7cmの仏像です。1914年（大正3年）に重要文化財に指定されました。
木造不動明王立像: 平安時代に作られた像高182.7cmの仏像です。1914年（大正3年）に重要文化財に指定されました。
木造金剛力士（仁王）立像: 鎌倉時代の作で、「阿形」と「吽形」の1対で、像高はそれぞれ230.3cmです。1925年（大正14年）に重要文化財に指定されました。

岐阜県指定重要文化財

金胎両界曼陀羅図、三千仏図、渡唐天神図、瑜祇塔図、如来荒神図、五鈷、紺紙金泥大般若経、秘鈔、真言八祖像図、五大明王図、血脈などが指定されています。

北方町指定重要文化財

織田信長朱印状、豊臣秀吉朱印状、和鏡、木彫額「普陀落院」、鉈彫不動明王像、慈雲「常瑜伽」、涅槃像図、採蓮図、太閤画像、虎の絵、三十三身観世音、鬼子母神図、十三仏像、四社明神像、四天王像、愛染明王像（天蓋付）、十二天像、弘法大師像、竜神像、十一面観音像、十六善神像、金剛薩像、羯磨、薬師如来木像などが指定されています。

札所

円鏡寺は、以下の霊場の札所となっています。

西美濃三十三霊場 第三札所
新美濃観音札所 第十九札所
東海三十六不動尊 第三十二札所
美濃四国札所 第五十一番札所
美濃三弘法 第一札所

所在地と交通

円鏡寺は、岐阜県本巣郡北方町北方1345に位置し、北方町役場の東南にあります。

鉄道: 樽見鉄道樽見線 北方真桑駅から徒歩約20分
バス: 岐阜バス「北方円鏡寺前」バス停から徒歩約2分。

JR岐阜駅、名鉄岐阜駅からは、岐阜バスの真正大縄場線、北方河渡線を利用できます。

その他

円鏡寺の南側には北方小学校がありますが、以前は円鏡寺の境内だったと伝えられています。楼門前と大師堂・本坊は少し離れており、その間は円鏡寺公園として整備されています。本堂右手にあるもちの木は「男女和合のもち」と呼ばれています。

外部リンク

円鏡寺
* 文化財探訪 - 北方町

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