冒険ルビ

『冒険ルビ』：少年少女の宇宙冒険活劇

手塚治虫先生による、小学生向けSF漫画『冒険ルビ』。1969年から1970年にかけて、『小学一年生』と『小学二年生』誌上で連載されました。宇宙人から贈られた不思議な帽子とスーツを身につけた小学生、ルビオとクリコが、宇宙を舞台に繰り広げる冒険活劇は、多くの子供たちの心を掴みました。当初はSFアニメ企画として構想され、漫画連載は宣伝を兼ねていたものの、アニメ化は実現しませんでした。

ストーリー：地球を守るため宇宙へ！

ある日、ルビオとクリコは、不思議な帽子とスーツを宇宙人から贈られます。この帽子とスーツは、まるで強化服のようで、着けると体は強靭になり、空を飛ぶことすら可能になります。さらに、宇宙の様々な生き物たちと戦うこともできるのです。

この帽子とスーツを贈ってくれた宇宙人から、地球を飲み込もうとする怪物「ゾンダ」の脅威を知らされます。地球を守るため、ルビオとクリコは宇宙戦士「ルビ」と「リコ」となり、宇宙へと旅立つ決意をするのです。

彼らの冒険は、チクワーという宇宙人の案内で始まります。チクワーは、最初はゾンダの手下としてルビとリコを陥れようとしますが、彼らの正義感と勇気に触れ、やがて案内役へと変わっていきます。彼らが乗る宇宙船は、チクワーの自家用船。様々な星々を訪れ、個性豊かな宇宙人たちと出会い、数々の困難を乗り越えていきます。

登場人物：個性豊かな宇宙冒険者たち

ルビオ（ルビ）：
宇宙人から帽子とスーツを贈られた小学生の男の子。正義感の強い性格で、地球を守るため、危険を顧みず宇宙を冒険します。

クリコ（リコ）：
ルビオと同じく、宇宙人から帽子とスーツを贈られた小学生の女の子。ルビと共に冒険を繰り広げ、時に頼りになる存在として活躍します。宇宙人からは、ルビオよりも「隊長」にふさわしいと評価されています。

チクワー：
物語の重要なキーパーソンとなる宇宙人。最初はルビとリコを陥れようとしますが、彼らの行動に感銘を受け、案内役として冒険に協力します。いつもルビとリコを出し抜こうと企んでいますが、失敗ばかり。故郷に残した妻子を案じる一面も持っています。

大耳の宇宙人：
ルビオとクリコに帽子とスーツを贈った謎めいた宇宙人。物語の中では「宇宙人」としか呼ばれず、自身の名前を明かすことはありません。ルビとリコの帽子は、この宇宙人の姿を模したものです。

連載と単行本：複数のバージョンが存在

『冒険ルビ』は、『小学一年生』と『小学二年生』で連載されましたが、掲載内容に微妙な違いがあります。そのため、単行本も複数のバージョンが存在します。小学一年生版と小学二年生版では、ゾンダの正体などが異なっているなど、細部が異なる展開となっています。

主な単行本は以下の通りです。

手塚治虫漫画全集『ふしぎなメルモ』（講談社）：小学一年生開始版収録
手塚治虫漫画全集『冒険ルビ』（講談社）：小学二年生開始版収録
秋田文庫『冒険ルビ』（秋田書店）
手塚治虫文庫全集『ガムガムパンチ』（講談社）：併録

まとめ：忘れられた名作の再発見

『冒険ルビ』は、アニメ化されなかったことが残念なほど、魅力的な作品です。子供にもわかりやすく、かつ大人も楽しめる要素が満載。宇宙冒険、個性豊かなキャラクター、そして地球を守るという普遍的なテーマ。忘れられた名作として、今一度注目に値する作品と言えるでしょう。手塚治虫先生ならではの独特な世界観と、子供たちの冒険心をくすぐるストーリーは、世代を超えて愛される作品として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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