冨士大和

冨士 大和

埼玉県さいたま市出身のプロ野球選手、冨士 大和（ふじ やまと）は、2006年8月26日生まれの左投左打の投手です。現在は、パシフィック・リーグに所属する埼玉西武ライオンズに育成選手として籍を置いています。

経歴

野球との出会いは小学校1年生の時、地元の少年野球チーム『大宮パワーズ』でプレーを始めたのがきっかけでした。さいたま市立三橋中学校に進学後も軟式野球部で腕を磨き、中学3年時には才能を認められ、『埼玉西武ライオンズジュニアユース』の一員に選ばれる経験をしました。

高校は大宮東高校に進学。入学当初、彼の最速球速は120km/hでした。しかし、当時平成国際大学で野球をしていた兄・隼斗氏が実家に帰省した際、冨士選手は自身の投球フォームの映像を見せ、アドバイスを求めました。兄からは「胸のしなりが十分に活かされていない」という具体的な指摘を受けます。兄の隼斗氏は大学時代に怪我を経験し、その中で身体の使い方や効果的な練習方法について深く学んでいました。この助言を受けて、冨士選手は特に胸郭の柔軟性や可動域を広げるトレーニングに集中的に取り組み始めます。その結果、驚くほど球速が向上していきました。

高校2年の春からはエースナンバーである背番号1を託され、チームの中心選手として活躍。この年の県大会では、チームとして9年ぶりとなるベスト4進出に大きく貢献しました。残念ながら夏の埼玉大会では5回戦、秋の県大会では3回戦、そして3年夏の埼玉大会では4回戦で敗退し、甲子園出場の夢は叶いませんでした。しかし、高校時代には最速144km/hを記録するなど、着実に成長を遂げ、プロの世界から注目される存在となりました。

こうした高校での実績と将来性が評価され、2024年10月24日に行われたプロ野球ドラフト会議にて、埼玉西武ライオンズから育成選手として1位指名を受けました。プロへの第一歩を踏み出すこととなり、同年11月7日には推定年俸280万円、支度金350万円で仮契約を締結。そして、12月1日に行われた新入団選手発表会では、プロでの門出を飾る背番号『123』が発表されました。

選手としての特徴

冨士大和選手の最も特徴的な点は、その独特で変則的な投球フォームにあります。投球動作の際に足を高く上げた後、膝を胸に近づけるように折りたたみます。テイクバックに入ると、トップの位置で左肘がやや下がるように見え、そのまま低い位置から一気に腕を振り抜きます。この投球フォームは、打者にとってリリースのタイミングが見えにくく、打ちづらさを感じさせる大きな武器となっています。

一般的に「肘が落ちる」と言われる腕の使い方は、時に故障のリスクが懸念されることがあります。しかし、冨士選手自身はこの点について独自の考えを持っています。彼は自身のフォームが、胸郭を柔らかく使うことで腕を振るスタイルであり、テイクバック時に胸を張ることで両肘の位置が下がるのは自然な動きだと説明しています。また、アマチュア時代には肩や肘に大きな故障を経験しておらず、特別なフォーム指導を受けたこともないといいます。

彼の投球を支えるもう一つの武器は、最速144km/hを計測するストレートです。このストレートは、球速以上に打者の手元で伸びるような質を持ち合わせています。さらに、独特な軌道を描くチェンジアップも効果的です。

持ち球は以下の通りです。

ストレート（最速144km/h）
チェンジアップ（独特な軌道）
スライダー
その他

変則フォームから繰り出される伸びのあるストレートと変化球を武器に、プロの世界での飛躍が期待される若手左腕投手です。

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