冨永茂人

冨永 茂人（とみなが しげと）は、1949年（昭和24年）に生まれた日本の農学者であり、園芸学者です。鹿児島大学名誉教授として知られ、特に柑橘類、中でもポンカンの栽培技術に関する研究で顕著な功績を残しました。また、島嶼部における農業のあり方や、農業が環境に与える影響についても深く探求しました。

鹿児島県のいちき串木野市羽島の、果樹経営を主とする農家に生まれ育った冨永は、農業を身近に感じながら少年時代を過ごしました。地元の鹿児島県立串木野高等学校を卒業後、鹿児島大学農学部へと進み、農業の専門知識を深めます。1975年（昭和50年）、同大学大学院農学研究科修士課程を修了し、農林省（後の農林水産省）の試験場研究員としてのキャリアをスタートさせました。

研究員として、四国農業試験場土地利用部を経て、1981年（昭和56年）からは果樹試験場興津支場に勤務。ここで果樹栽培に関する研究に本格的に取り組み始めます。そして1983年（昭和58年）、母校である鹿児島大学農学部に講師として着任し、教育者としての道を歩み始めました。

大学での研究活動と並行して、学位取得を目指した研究も精力的に行います。[1988年]]（昭和63年）2月には、九州大学より「ポンカン]の果実の品質向上に関する研究」と題した論文で農学博士の学位を授与されました。これは、日本の主要な柑橘品種である[[ポンカンの栽培技術における重要な基礎研究として評価されています。

1989年（平成元年）には鹿児島大学農学部の助教授に、1998年（平成10年）には教授へと昇任。教授としては、長年にわたり果樹農家が抱える技術的な課題の解決に向けた実践的な研究開発や、既存技術の改良に取り組みました。その研究成果は、鹿児島県をはじめとする南九州地域の果樹農業の振興に大きく貢献しました。

また、国際的な視点も持ち合わせており、パプアニューギニアやミクロネシアなど、海外の島嶼地域における農業の実態に関する学術調査にも数多く参加しました。さらに、1999年（平成11年）にはスペインのバレンシア工科大学やアメリカ合衆国のジョージア大学に留学し、海外の研究動向や技術について学び、その後の研究や教育に活かしました。

鹿児島大学教授在職期間中には、2012年（平成24年）4月から2015年（平成27年）3月まで農学部長を務め、学部運営の重責も担いました。2015年（平成27年）に鹿児島大学農学部教授を定年退職した後は、名誉教授の称号を授与されました。さらに、同大学のかごしまCOCセンター特任教授として、地域貢献事業にも携わり、2019年（平成31年）3月まで活動しました。

教育への情熱は衰えることなく、定年退職後も非常勤講師として教壇に立ち続けています。これまでに南九州大学大学院（1999～2001年）、大阪府立大学大学院（2011、2012年）、琉球大学農学部（2012年～現在）、鹿児島県立農業大学校（1984年～現在）などで、専門知識の普及と後進の指導にあたっています。

2019年（令和元年）4月からは、鹿児島大学同窓会連合会の会長に就任し、母校の発展と卒業生間の連携強化に尽力しています。冨永茂人は、研究者、教育者、そして地域社会への貢献者として、長年にわたり日本の農業、特に果樹栽培分野の発展に多大な功績を残しています。

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