冬の十字架

アルバム『冬の十字架』の背景と内容

『冬の十字架』は、1999年9月22日に登場した忌野清志郎 Little Screaming Revueの3枚目のスタジオ・アルバムです。この作品は、日本音楽界の重要な存在である忌野清志郎が手がけたものであり、その制作過程には数々のドラマが織り込まれています。

制作の経緯

もともとポリドールレコードからのリリースを予定していたものの、収録曲の一つである「君が代」が問題となりました。この楽曲は、日本の国歌でありながら、アルバム制作にあたって親会社からのクレームを恐れたポリドールの上層部と忌野清志郎の間で対立が生じたため、結局ポリドールはアルバムの発売を中止する決定を下しました。この背景から、アルバムはインディーズでのリリースとなる運びとなりました。

この決定に付随して、ポリドールは「忌野清志郎様 応援しています、本当に。ポリドールレコード」という新聞広告を出し、彼の活動を間接的に支援する姿勢を示しました。この経緯と彼の音楽への情熱は、多くの話題を呼び、アルバムの発売直後には全国のレコード店でCDが品薄状態になったと報告されています。

さらに、台湾中部で発生した大地震、いわゆる921大地震により、現地のCDプレス工場が操業を停止し、一時的に生産がストップする事態も発生しました。

こうした数々の出来事を経て、忌野清志郎はポリドールとの契約を終了させ、より自主的な展開を図ることにしました。このように『冬の十字架』は、音楽という枠を超えて、社会的な影響をもたらす歌として位置づけられています。

収録楽曲について

アルバムには、忌野清志郎が作詞および作曲を手がけた9曲が収められています。特に代表的な楽曲には以下のようなものがあります：

• - 俺がロックンロール：忌野清志郎と三宅伸治の共作による力強いロックナンバー。
• - 君が代：国歌でありながら、忌野の独自の解釈で再構成されています。
• - 来たれ21世紀：未来に向けた希望を描く楽曲で、忌野のメッセージ性が際立っています。
• - 人間のクズ：忌野の反骨精神が表現された一曲であり、聴く者に強い印象を残します。
• - こころのボーナス：吉田拓郎への提供曲を自身でセルフカバーしたもので、彼の音楽的な幅広さを感じさせます。
• - 明日また話そう、おもしれー：いずれも忌野の深いメッセージ性とユーモアが光る楽曲です。

まとめ

『冬の十字架』は、忌野清志郎の音楽的な魅力を余すことなく表現した作品であり、彼の情熱と反抗心が色濃く反映されています。多くの困難に直面しながらも、アルバムを通じて彼が伝えたかったメッセージは、今もなお多くのリスナーに影響を与えています。今後も彼の作品は、音楽界だけでなく広範な文脈において語り継がれていくことでしょう。

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