出雲国府跡

出雲国府跡の概要

出雲国府跡（いづもこくふあと）は、島根県松江市の大草町、山代町、竹矢町にまたがる古代出雲国の国府があった場所です。この場所は律令制下の地方行政の中心であり、その重要性を示す歴史的遺跡として、1971年12月13日に国の史跡に指定されました。

発掘前の背景

出雲国府跡は松江市の南東約6キロメートルに位置する意宇平野にあります。国府に関する記録は『出雲国風土記』にみられ、意宇平野はその存在が古くから知られていたにもかかわらず、具体的な所在地は不明でした。推定地はいくつかありましたが、江戸時代の大草村検地帳に「こくてう」という地名が記載され、現代の竹ノ後辺りが国庁跡であることが考えられるようになりました。1968年には八雲立つ風土記の丘の設置計画が浮上し、発掘調査が始まりました。

発掘調査の進展

発掘調査の結果、松江市大草町にある六所神社の周辺が国庁跡であることが確認されました。この国庁は、一辺が167メートルの区画で大溝により区切られており、その南側には政庁区画が配置されていました。ここには正殿や脇殿が並んでいたという推測がなされています。さらに北側にも溝によって仕切られた官衙建物が存在したと考えられています。

発掘からは、多数の遺物が出土しました。特に、木簡には「大原評（こおり）」や「進上兵士財」などの記述があり、「評」という木簡から、出雲国庁が大宝元年（701年）以前に建設されたことが示唆されます。また、墨書土器には「厨」「酒杯」「少目」などの文字が刻まれており、当時の食生活や文化を知る手がかりを与えてくれます。その他にも、柱の一部や軒瓦類、食器、硯、玉作用の原石、砥石、和同開珎（銀貨）、「春」という字が印刷された銅印なども発見されています。

周辺の遺跡とその重要性

国府跡の周辺地域は条里制の影響が色濃く残っており、国庁とともに存在したと考えられる意宇郡家（おうぐうけ）や駅家などの遺跡もその調査が期待されています。これらの場所から得られる情報は、古代の日本における行政や社会の構造を理解する上で非常に貴重です。

出雲国府跡の発掘は、古代出雲国の政治や文化の実態を知るための重要な手がかりであり、今後の調査や研究の進展により、さらなる発見が期待されています。出雲国府跡は古代の歴史を知る上で貴重な遺跡です。

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