出雲国造

出雲国造の歴史と役割

出雲国造は、古代日本において出雲国（現・島根県東部）を統治した重要な氏族の指導者です。彼らは代々出雲大社の祭祀を担い、同時に出雲国造という称号を継承してきました。

概要と祖先

出雲国造の起源は、『先代旧事本紀』「国造本紀」に見ることができ、これは第10代崇神天皇の時代に遡ります。この記録によると、天穂日命の11世孫である宇迦都久怒が最初の国造に任じられたとされています。また、『古事記』においても、関連する国造たちが同じ神々を祖とすることが示されています。

出雲国造に連なる氏族は出雲氏で、彼らの始祖は大国主神を崇めるために出雲大社の祭祀を行った天之菩卑能命とされています。この家系は出雲大社と深い関わりを持ち続け、その祭祀の継承は重要な役割を果たしてきました。

国造の支配とその背景

出雲国造の任命は、ヤマト王権下で行われ、出雲の地を拠点とする氏族の力を反映していました。特に、国造制の形成や廃止、さらには律令制度への移行といった歴史的背景が出雲国造に影響を与えました。およそ7世紀半ばに国造制は全国的に廃止され、出雲国造も例外ではありませんでしたが、彼らは国造の名を財産のように保持し続けました。

祭祀の特徴と重要儀式

出雲国造の祭祀の中で特に重要なのが、国造の代替わり時の火継式と神賀詞の奏上です。火継式は国造が変わる際に行われ、自らの霊を先代から受け継ぐ儀式です。新しい国造は潔斎し、熊野大社で神火を起こし、その火で調理された食事を神前にならべることで、神秘的な結びつきを示します。

また、神賀詞の奏上は、出雲国造が朝廷に参向して行う伝統的な儀式であり、神宝を捧げつつ、自らの血脈を朝廷に示す重要な役割を果たします。これらの儀式は、出雲国造独特の文化的背景を反映しています。

系譜と家系の分裂

出雲国造は代替わりごとに新しい氏族名で記録され、その伝承は『古事記』や『日本書紀』などに残されています。南北朝時代には千家家と北島家に分かれ、それぞれが国造の名を継承し、出雲大社の祭祀を分担する形となりました。

明治時代には、両家ともに男爵に任じられ、その後もそれぞれの信仰を保持し続けています。このように、出雲国造は歴代の神職と祭祀を通じて、出雲の文化を形成してきました。

神社の関連

出雲国造に関連する神社には、出雲大社や熊野大社、神魂神社などがあります。出雲大社は出雲国造の祭祀の中心的役割を果たし、現在でも信仰を集めています。一方、神魂神社は代替わりの際の神事が執り行われる場所であり、実際の祭祀の継承を担ってきました。

まとめ

出雲国造は古代から現代に至るまで、出雲地域の宗教的・文化的な中心としての役割を担い続けています。彼らの伝統は神社や儀式を通じて受け継がれ、地域の人々に深い影響を与えています。出雲国造の歴史からは、日本古代史の一端を知ることができ、文化の多様な変遷を見ることができるでしょう。

もう一度検索