函館市交通局700形電車

函館市交通局700形電車は、1957年（昭和32年）に函館市交通局（函館市電）に導入された路面電車です。701から705までの5両が製造され、函館市内の路線を運行しました。

車両概要

700形は、当時の最新技術を取り入れ、乗り心地と安全性を追求した車両でした。特徴的なのは、変則的な2枚窓の運転窓で、これは当時の路面電車としては珍しい形状でした。騒音対策にも力が入れられ、電動機部分には防音ギアが採用され、車輪には弾性車輪を使用していました。しかし、弾性車輪は保守に手間がかかるという課題がありました。

ワンマン化改造

1969年（昭和44年）には、700形全車がワンマン運転に対応するための改造を受けました。この改造により、運転窓は固定式に変更されましたが、運転台への通風を確保するための窓が新たに設けられました。しかし、この窓が運転士の死角を生むという問題点も指摘されました。方向幕は小型のものがそのまま使用されました。

運用と終焉

700形は、同時期に導入された710形や800形といった後継車両の登場により、次第に予備車としての役割を担うようになりました。特に、保守に手間のかかる弾性車輪がネックとなり、運用頻度が低下しました。1973年（昭和48年）10月には、5両全てが廃車となり、700形は函館市電の路線から姿を消しました。

現存する車両はなく、その姿を直接見ることはできませんが、函館市電の歴史を語る上で欠かせない存在です。

参考文献
* 世界の鉄道 1964年版　朝日新聞社　1963年

もう一度検索