函館市交通局706形電車

函館市交通局706形電車は、1964年（昭和39年）に函館市交通局（函館市電）に登場した路面電車です。

概要

706形は、1963年8月に発生した正面衝突事故により被災した518号車の部品を有効活用するために誕生しました。廃車となった518号車から電装品と台車を流用し、当時増備が進められていた800形電車に準じた車体と組み合わせて製造されたのが特徴です。車両番号は700形の続番である「706」が与えられましたが、700形との関連性はほとんどありません。

車内暖房

1969年10月には、706号車に灯油燃焼式の車内暖房器が試験的に取り付けられ、実際の営業運転でその効果が検証されました。試験の結果は良好であり、その結果を受けて、当時在籍していた他の車両にも同様の暖房器が設置されることになりました。706形は、函館市電における車内暖房の普及に貢献したと言えるでしょう。

短い活躍期間

706形は、1979年3月に廃車となり、その短い生涯を終えました。事故車の部品を再利用して製造されたという経緯や、車内暖房の試験導入車であったという点で、函館市電の歴史において特筆される車両です。現在は現存していませんが、その存在は記録として残っています。

函館市電706形は、経済的な事情や技術的な試みの中で生まれた車両であり、函館市電の歴史を語る上で欠かせない存在と言えるでしょう。

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