函館市交通局800形電車

函館市交通局800形電車

函館市交通局800形電車は、函館市電で活躍した路面電車車両です。1962年（昭和37年）から1965年（昭和40年）にかけて、新潟鐵工所（台車は住友金属）で801号車から812号車までの12両が製造されました。

概要

800形は、先に登場した710形電車をベースに設計されています。車体構造や性能は710形に準じていますが、制御方式が異なり、間接非自動制御を採用している点が特徴です。外観上の違いとしては、710形では2枚引き戸だった前扉が、800形では1枚引き戸に変更されました（ただし、811号車と812号車は710形と同様の2枚引き戸）。

製造年次

801 - 805号車：1962年7月
806 - 809号車：1963年4月
810号車：1964年6月
811・812号車：1965年4月

改造

ワンマン化改造: 1968年に全車がワンマン運転に対応するための改造を受けました。
暖房取付: 1970年には、全車に灯油燃焼式の暖房が取り付けられ、冬の乗客の快適性向上に貢献しました。
ステップ改良: 2001年からは、当時運用されていた807号車、810号車から812号車に対して、乗降時の安全性と利便性を向上させるためのステップ改良工事が実施されました。具体的には、前扉のステップが3段化され、中扉のステップには補助ステップ（足掛け）が設置されました。この工事は2004年までに全車で完了しています。

塗装

800形電車の登場当初の塗装は、710形と同じく「笹色ツートン」と呼ばれるものでした。しかし、函館市電では多くの車両に企業広告などがラッピングされており、800形も例外ではありませんでした。そのため、長らく標準色をまとった車両は存在しない状態が続いていました。しかし、2010年8月に811号車が、その後812号車も「笹色ツートン」と呼ばれる以前の標準色に復元され、往年の姿を取り戻しました。現在、800形は広告塗装の対象外となっています。

車体更新

1990年から1997年にかけて、8両の800形電車が8000形電車へと車体更新されました。さらに2002年には、807号車が8100形電車へと更新されました。一時、8100形電車の増備計画も存在しましたが、実現には至りませんでした。

2010年に策定された函館市交通事業経営計画（第2次）に基づき、3両の車体更新が決定しました。そのうち810号車と811号車は8000形へと更新されましたが、2016年度に予定されていた最後の1両である812号車の8000形への更新計画は実施されませんでした。2020年現在、老朽化した車両の車体更新は710形が優先的に行われています。函館市交通部としては、函館市電に残るレトロな車両を各形式1両ずつ、可能な限り保存していきたいという意向を示しています。

廃車及び車体更新後の車番

801号車：1993年1月廃車、8004号車へ車体更新
802号車：1994年3月廃車、8005号車へ車体更新
803号車：1990年3月廃車、8001号車へ車体更新
804号車：1992年2月廃車、8003号車へ車体更新
805号車：1995年3月廃車、8006号車へ車体更新
806号車：1997年3月廃車、8007号車へ車体更新
807号車：2002年3月廃車、8101号車へ車体更新
808号車：1990年12月廃車、8002号車へ車体更新
809号車：1997年3月廃車、8008号車へ車体更新
810号車：2012年3月廃車、8009号車へ車体更新
811号車：2012年12月廃車、8010号車へ車体更新

2020年現在、800形として在籍しているのは812号車のみです。長年にわたり函館市電を支えてきた800形電車の今後の動向が注目されます。

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