函館市交通局8100形電車

函館市交通局8100形電車

函館市交通局8100形電車は、2002年4月22日に運行を開始した函館市電の路面電車車両です。この車両は、日本初の車体更新による車椅子対応車両として誕生しました。

概要

8100形は、1990年から1997年にかけて800形を車体更新した8000形の設計を基本としています。2002年に部分低床電車として車体更新を行い誕生しました。

車体構造

バリアフリー化のため、台車間の入口扉、車椅子スペース付近約3mがノンステップ化されています。乗車口ステップの高さは40cmとなり、中扉には電動スロープが取り付けられています。前後の高床部分とは2段のステップで結ばれています。主抵抗機及び補助電源は、ノンステップ化により機器搭載場所が限られるため、屋根上に新製の上で設置されました。

車内には2台分の車椅子スペースが設けられています。車内には当初LED式の運賃表示器が設置されていましたが、2011年時点で液晶ディスプレイ式に交換され、多言語での表示や観光案内を行うようになりました。

部分低床でありながらホームとの段差をなくすほど低床化がなされましたが、台車に関しては種車である800形から流用したものをそのまま使用しており、車内をスロープでつなぐ手法がとれなかったため、台車部分と低床部に大きな段差が生まれました。この段差は、一般の乗客の移動に支障をきたし、転倒が懸念されるなどの問題点が指摘されました。また、定員もベースとなった8000形よりも少なくなっています。

製造

8101が2002年3月にアルナ車両で800形807の車体更新により製造され、2002年4月22日に営業運転を開始しました。当初は合計4両が製造される予定でしたが、2両目以降の製造は行われていません。

増備計画の中止とその後

一時は2005年以降に増備する計画がありましたが、8100形への車体更新は8101の1両のみで終わっています。原因は前述の車体構造の問題です。しかし、この車両は函館市電のバリアフリー化のきっかけとなり、交通局は2006年度からアルナ車両のリトルダンサーC2型による新造超低床車9600形の導入を開始しました。なお、以後の800形の車体更新は再び8000形によって行われることとなり、2012年から製造が再開されています。

車体改修・延命工事

2021年9月から8101の車体改修・延命工事が実施されました。スタンションポール・低位置のつり革設置、車外行先表示器の多言語対応カラーLED化、電気配線・空気配管更新、車体鋼体修繕・防錆処理などが実施されました。前照灯・尾灯は角形の灯具に交換され、屋根上の補助電源装置は一体ケーシングのない分割された形状となりました。家庭用エアコンが搭載され、車内に室内機が、屋根上のパンタグラフと補助電源装置の間に室外機が設置されました。

運用

低床電車が運行される時刻は固定されており、当形式または9600形が運行することになっており、時刻表にも表示されます。

なお、運行開始当初は湯の川 - 谷地頭間を走行する2系統にのみ運用されていました。

塗装

オリジナル塗装は、環境と日にやさしい市電をイメージしたグリーンボディーです。

函館市電の多くの車両には、車体の全面広告が施されています。8101はかつて車両側面のみをラッピングする部分ラッピング広告の対象車両となっており、「日本放送協会 （NHK）函館放送局」などの広告が車体側面に施されていました。車体形状が特殊なことから、窓ガラス部分にも広告が施されることがありました。

車体改修を行った2022年からは全面広告車となり、「珈琲焙煎工房 函館美鈴」の開業90周年を記念した広告が全面に施されています。

もう一度検索