函館本線大沼駅貨物列車脱線事故

函館本線大沼駅貨物列車脱線事故について

函館本線大沼駅貨物列車脱線事故は、2013年9月19日、北海道亀田郡七飯町で発生した鉄道に関する重大事件です。この事故では、函館本線を走行中の臨時貨物列車が駅構内のポイントを通過する際に脱線しました。具体的には、東室蘭操車場を出発し、熊谷貨物ターミナル行きの貨物列車が大沼駅構内で脱線したものです。

事故の経緯

この事件を引き起こす原因は、過去にさかのぼります。2011年、JR北海道は特急列車の脱線火災事故を経験した後、安全対策を強化するための基本計画を策定しました。しかし、その後の年には輸送障害が増加し、状況は悪化しました。さらに2013年には、複数の火災事故が発生し、それに対処するために、JR北海道は運行速度や本数の見直しを行っていました。

脱線事故は、このような背景の中で発生しました。事故が発生した列車は、東室蘭操車場から向かってきたもので、目的地へ向けて出発した直後です。運転士は、列車の後方から引っ張られる感覚を感じ、ブレーキ管圧力の低下を確認しながら、緊急停止の判断を下しました。

事故調査と原因

運輸安全委員会（JTSB）の調査によると、事故原因は適切な整備が行われていなかったことに起因するものでした。脱線が発生したポイントのレールは、整備基準値を大幅に超える異常が確認されました。特に、レールの幅が整備基準値の19mmを上回る40mmであり、過去の整備記録にも問題がありました。

調査の結果、JR北海道の保線事業所でのデータ改ざんが明らかになり、脱線事故の後に行われた検査でも、レールの異常を抱えている箇所が270カ所も発見されたのです。このため、国土交通省は緊急点検を指示し、さらなる整備が行われました。

国土交通省の対応と制裁

事故後、国土交通省はJR北海道に対して特別保安監査を実施しました。この監査の中で、データの改ざんや整備状況について厳しい指摘がなされ、JR北海道の安全管理体制の問題が浮き彫りとなりました。その結果、JR北海道の幹部が解任され、同社はデータ改ざんの責任を追及されました。

さらには、2015年にJR北海道および19名の社員が、鉄道事業法違反として札幌地方検察庁に書類送検されました。また、大沼保線管理室の助役が業務上の過失で函館地検に送検されました。

JR北海道が講じた対策

この脱線事故を受けて、JR北海道は保線区と本社との異常箇所の相互確認を強化しました。また、データ改ざん防止策として、数値を自動的に入力するシステムを導入し、整備状況の透明性を高める施策を行いました。

さらに、JR北海道は枕木やロングレールの使用促進とともに、修繕に関する5カ年計画を策定しました。これらの対策により、事故の再発防止を図るとともに、安全対策の重要性を再認識しています。

本事故は、鉄道の安全運行において整備がいかに重要であるかを示す教訓となりました。JR北海道は「保線安全の日」を定め、保線職員に対する研修を行うなど、安全意識の向上に努めています。

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