分岐器

分岐器の概要

分岐器（ぶんきき）とは、鉄道の線路において列車や車両の進路を選択し、分岐を行う重要な機構です。英語では「railroad switch」または「turnout」と呼ばれ、アメリカでは分岐する部分を「ポイント」と呼んでいます。分岐器は通常、1本の線路を2本（またはそれ以上）に分岐させる構造になっており、そのメインの構成要素はポイント部、リード部、クロッシング部、ガード部の4つです。

構造

1. ポイント部: 列車を分岐させる先端部分であり、トングレール（尖ったレール）と基本レールの接点を形成します。ポイント部には先端と鈍端の2つのポイントがあり、曲線と直線の進行に応じた形状になっています。
2. リード部: トングレールとクロッシング部を繋ぐ部分で、通常は分岐線の側が曲線となります。この曲線の半径をリード半径と言い、分岐器の通過速度に大きな影響を与えます。
3. クロッシング部: 複数のレールが交差する部分で、直線や曲線の形状を持つことがあります。固定クロッシングと可動クロッシングがあり、可動クロッシングの方が列車の進行方向に合わせて動作します。
4. ガード部: 列車が異なる線路に誤って進入しないように設置されているレール部分です。

基本的には、黒線が基準レール、茶色線がトングレール、赤線がリードレールを示しています。分岐を行う際、トングレールは指定された進路に応じて移動します。また、弾性分岐器と呼ばれる装置では、トングレールとリードレールが一体化している場合があります。

運用

分岐器は常に特定の主線に列車を導くよう設計されていますが、異なる方向への進入も可能です。この場合、分岐器の通常の進路を「定位」、異なる方向を「反位」と定義します。通常、列車が分岐器に進入すると、「対向」または「背向」と対峙する動きが求められます。

ノーズ部には隙間があり、車輪のフランジがスムーズに通過できるようになっています。この隙間、すなわちフランジウェイは、減速を強いる要因となりますので、高速列車が通過する路線ではノーズ可動式分岐器が採用されることが一般的です。

ノーズ可動式分岐器は、ノーズとウィングレールを連動させることで、フランジウェイを塞ぎ誤進入を防ぎつつ、高速運転を可能にします。新幹線や特急列車のような高速運行においては、分岐器もその速度に応じた設計がされており、点検や監視のための装置も取り付けられています。

分岐器の種類

分岐器は幾つかのタイプに分類され、用途によって選ばれます。形状による分類には、片開き分岐、両開き分岐、振分分岐、内方・外方分岐、片渡り線、両渡り線などがあります。特に高速鉄道では分岐器のデザインが速さに適応しており、分岐側での通過速度の規定が重要です。

また、分岐器には番数と呼ばれる数値があり、これは分岐器の角度を表す指標です。国によってこの表現が異なりますが、特に日本では「8番」、「10番」といった具合に通用しています。

分岐器の設計、運用、保守段階では、信号機との連動、監視装置によるリアルタイムでの状態判断も考慮され、列車の安全な運行を支えています。最新の技術では、高速運転を目指した設計や新素材の採用、可動部の自動化が進められており、常に進化を続けています。

分岐器は、鉄道のスムーズな運行を実現する不可欠な要素であり、専門家による評価や運用の技術も重要です。さらに、今後の鉄道輸送において特に速度が求められる現代において、新たな挑戦や研究が続けられています。

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