分析論後書

アリストテレスの『分析論後書』

『分析論後書』は、アリストテレスによって書かれた哲学的な著作であり、彼の業績の中でも特に重要な位置を占めています。この著作は、論証の構造とそれに関連する思考の基盤を探求し、知識の獲得における論証の重要性を強調しています。全体は二巻に分かれ、第一巻では「論証の構造」、第二巻では「探求の道」に焦点を当てています。

構成と内容

第1巻：論証の構造

この巻は全34章から成り、論証がどのように機能するかに関する詳細な分析が行われています。

• - 序論（第1章）：論証を理解するための前提、すなわち「予め知ること」の必要性について述べています。
• - 論証による知識について（第2章-第9章）：ここでは論証が知識を形成する過程や、論証の性質、種類について説明されています。
• - 論証の原理について（第10章-第11章）：論証を成立させるための基本的な原理を解説し、共有の原理や基礎定立との関係を探ります。
• - 科学的な知識をめぐる問題点（第12章）：科学的な探求において直面する疑問や誤謬について考察が行われています。
• - 科学的な論証とその性質（第13章-第14章）：論証がどのようにして科学的知識に貢献するかを詳述しています。
• - 論証を構成する要素とその特徴（第15章-第23章）：ここでは論証を構成する項の関係やそれに伴う誤謬について検討されています。
• - 科学的知識の質とその多様性（第24章-第34章）：科学的知識の明確性や多様性、知識と臆見の違いについて述べています。

第2巻：探求の道

この巻は全19章から成り、「探求される事柄」やその「原理の認識」を中心に展開されています。

• - 序論（第1章-第2章）：探求が必要とされる事柄の種類について理解を深めます。
• - 定義論（第3章-第10章）：定義と論証の関係性について議論し、事物の本質に迫るための方法論を探ります。
• - 原因論（第11章-第12章）：物事の原因を明らかにするための論証について詳細に検討し、原因と結果の関係性に焦点を当てます。
• - 原因探求の方途（第14章-第18章）：原因探求における問題設定や具体的な方法論について述べています。
• - 原理の認識（第19章）：論証の原理の理解に関するまとめとして、どうすれば論証の有効性を確認できるかを示しています。

訳書と関連書籍

『アリストテレス全集 1　分析論前書 分析論後書 ほか』や、『新版 アリストテレス全集 2　分析論前書 分析論後書』など、複数の翻訳が存在し、広く読まれています。また、この著作はオルガノンとも深く関連し、論証や三段論法の理解を深めるための基礎資料として重宝されています。

結論

アリストテレスの『分析論後書』は、論証の本質や知識に対する問いを深く掘り下げ、その理論的な基盤を提供する重要な著作です。知識の構造や論証のあり方に興味がある読者にとって、必読の一冊と言えるでしょう。

もう一度検索