分身 (東野圭吾)

『分身』 - 東野圭吾の推理小説

概要

『分身』（ぶんしん）は、有名な推理作家・東野圭吾の作品で、1993年9月に集英社から刊行されました。その後、1996年に文庫版が出版され、さらには2012年にはWOWOWでテレビドラマ化され、多くの視聴者に親しまれています。

あらすじ

物語の舞台は札幌。18歳の女子大生、氏家鞠子は、自身の出生に関する疑念を抱いています。彼女は中学時代、両親と離れて函館で下宿しながら通学していましたが、特に母親との関係に悩まされていました。母は非常に優しい性格でありながら、鞠子と目を合わせずに話すため、彼女は自分が嫌われているのではないかとの不安を抱くように。さらに、中学時代に母が不審火で死亡したという過去が、その疑念を深めます。父親・氏家清はその事件について何か知っている様子でしたが、語ろうとはしません。

年数が経ち、亡き母の遺品を見ていた鞠子は、自分とそっくりな『双葉』という名の女性の存在を知ります。鞠子は、双葉との関連を探ることで自分自身の出生の秘密を解明する決意を固め、真相に迫っていきます。

一方で、東京に住む20歳の女子大生・小林双葉も、自身の存在に疑問を抱き始めていました。彼女はアマチュアバンドでボーカルを務める一方で、母からテレビ出演を禁止されており、その理由が知りたくてたまらないのです。双葉の母親・志保は看護婦として働き、女手一つで彼女を育ててきましたが、何か重大な事情が隠されているようです。

物語は、鞠子と双葉がそれぞれの道を行く中で交差し、生命工学という新たなテーマが浮上してきます。二人の女子大生は、自らの謎を解き明かす中で思わぬ真実へと導かれていくのです。

登場人物

• - 氏家鞠子：主人公。出生の秘密に疑問を抱く女子大生。
• - 氏家清：鞠子の父親、函館理科大学の教授。
• - 小林双葉：東京の女子大生でバンドのボーカル。
• - 小林志保：双葉の母親、看護婦。
• - 下條さん：帝都大学医学部の女学生。

テレビドラマ化

2012年には WOWOW にて、長澤まさみ主演で『分身』が連続ドラマとして放送されました。全5回からなるこのシリーズは、オリジナルドラマとして新たな視点から物語を展開しました。

最後に

『分身』は、出生の秘密や運命に翻弄される二人の女子大生の心理を描いたミステリー小説です。推理小説としての魅力のみならず、人間関係や親子の絆、個人のアイデンティティについて考えさせる作品でもあります。

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