分離ボルト

分離ボルト（別名：爆裂ボルト、爆砕ボルト、爆発ボルト）は、内部に爆薬を充填した特殊なボルトであり、電気雷管によって起爆することで、瞬時に破断して固定された部品を解放する火工品です。この技術は、航空機やロケットなど、迅速かつ確実に分離する必要がある場面で広く利用されています。

構造と原理

分離ボルトは、ボルトの中央部分が中空になっており、そこに爆薬が充填されています。電気雷管が内蔵されており、電気信号が送られると起爆装置が作動し、内部の爆薬が爆発します。この爆発によってボルトが切断面から綺麗に破断し、結合していた部品が分離される仕組みです。破断時に周囲を傷つけないよう、破片が飛び散らないタイプも存在します。

爆薬の種類には、爆轟型と燃焼型がありますが、海外では動作がより確実な爆轟型が主流です。燃焼型は、爆薬の使用が法規制で困難な場合などに用いられることがあります。

主な用途

分離ボルトは、以下のような様々な分野で活用されています。

航空機:
緊急脱出時に、キャノピー（コックピットの覆い）やプロペラを機体から分離するために使用されます。これにより、パイロットや乗員が迅速に脱出できます。

ロケット:
多段式ロケットの段間分離に使用され、ロケットが次の段階に進むために不要になった部分を切り離します。
指令破壊時に、ロケットを安全に破壊するために用いられます。
ロケットチャンバーの鏡板に穿孔し、逆噴射させることで緊急停止させる用途にも使われます。

その他:
船舶の自沈装置の一部として利用されています。
ガルウィングドアを備えた自動車の緊急脱出用機構にも採用されています。

利点

分離ボルトには、以下のような多くの利点があります。

瞬間的な作動: 電気信号を受けてから、ごく短時間で確実に作動します。
単純な構造: 部品点数が少なく、故障しにくいシンプルな構造です。
小型軽量: コンパクトで軽量なため、様々な機器に組み込みやすいです。
低コスト: 製造コストを抑えられ、大量生産に向いています。
高い信頼性: 作動不良が少なく、高い信頼性があります。
長期保管: 長期間保管しても性能が劣化しにくく、いざという時に確実に作動します。
耐久性: 厳しい環境下でも安定して動作します。

欠点

分離ボルトには、以下のような欠点も存在します。

一度限りの使用: 一度使用すると再利用はできません。使い捨ての部品として扱う必要があります。

関連技術

分離ボルトに関連する技術としては、以下のようなものがあります。

自己破壊装置: 機器やシステムを自発的に破壊する装置。
破壊分離: 構造物を破壊して分離する技術。
爆発ナット: 爆薬を用いてナットを破断し、結合を解除する締結部品。

分離ボルトは、その瞬時性と確実性から、多くの分野で不可欠な技術となっています。特に、航空宇宙分野においては、ミッションの成功を左右する重要な部品として、今後もその活躍が期待されています。

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