初恋 (2006年の映画)

映画『初恋』の概要

2006年に公開された映画『初恋』は、中原みすずの同名小説を原作とし、1968年の日本を舞台にした青春恋愛映画です。この作品は、当時の学生運動に影響を受けながら、孤独を抱える女子高生の初恋を描いています。主役の女子高生・みすずを演じるのは、宮﨑あおいで、彼女の演技が作品に深い感情を与えています。

ストーリー

みすずは、実母が家を出てしまったため、親類の家に預けられて育った高校生です。彼女は孤独感を抱え、周囲との関係に悩みながら日々を送っていました。ある日、彼女は男に襲われそうになり、その後警察に聴取を受けるものの、家に連絡することを拒むほど心が不安定になっています。そのような中、久しぶりに音信を取った兄・リョウから手渡されたマッチに書かれた店、新宿のジャズ喫茶「B」に訪れ、そこで新たな出会いが始まります。

この店内には、リョウを含む6人の若者たちが集まり、彼らは「面接」と称してみすずの素性を探ろうとします。冷たくみすずを突き放す岸に対し、彼女は「大人になんかなりたくない」と叫びます。その一言で彼女は仲間として受け入れられ、以降「B」に通うようになります。

みすずは、様々な人間関係や若者たちの葛藤を目の当たりにしながらも、少しずつ自分を取り戻していきます。リョウは女性たちとトラブルを起こすヒモのような存在であり、ユカは舞台女優として活躍する一方で家族との関係に苦しんでいます。タケシやテツ、ヤスは反社会的な行動に走り、岸は冷静でありながらも怒りを内に秘めた存在です。

やがて、みすずは岸に助けられる場面もあり、徐々に彼との絆が深まる中、岸は彼女にバイクの運転を教え、共同で大きな計画を進めるようになります。この計画は1968年12月10日に実行される三億円強奪事件です。みすずは白バイ警官に扮し、トラブルに遭いながらもこの事件を成し遂げます。

しかし、計画の後に岸が行方不明になり、みすずは再会を夢見つつも孤独に日々を過ごすことになります。その中で、兄のリョウは命を落とし、みすずは彼の気遣いを知ることになります。最後には、岸の残した詩集を通じて、彼が自分に恋をしていたことを知り、涙を流します。

時が経ち、多くの仲間たちが夭折し、岸も消息不明のまま、強奪された三億円は使われずに時効を迎えることになります。みすずは新宿の街を一人で歩きながら、彼女たちの青春を振り返る姿が描かれています。

キャスト・スタッフ

本作のキャストには、みすず役の宮﨑あおいをはじめ、岸役の小出恵介、リョウ役の宮﨑将、ユカ役の小嶺麗奈など充実した俳優陣が揃います。また、監督は塙幸成が務め、脚本は彼と共に市川はるみや鴨川哲郎が手がけています。

ロケーションは主に福岡県北九州市で行われ、作品のリアリティを高めています。音楽はCOILが担当し、主題歌には元ちとせの「青のレクイエム」が使用されています。そのほかにも挿入歌として、複数の楽曲が巧みに配置されています。

結論

『初恋』は、1960年代の情熱と悲劇を背景に、若者たちの心の苦悩や恋愛模様を描いた印象的な作品です。特に宮﨑あおいの演技が光り、観る者に強い感情の波を届ける映画となっています。

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