別府海浜砂湯

別府海浜砂湯：歴史と再生

大分県別府市上人ヶ浜公園に位置していた別府海浜砂湯は、2023年3月31日をもってその歴史に幕を閉じました。別府八湯の一つ、亀川温泉に属し、古くから湯治客に愛されてきたこの砂湯は、近年増加する利用者数に対応しきれない状況や、施設の老朽化などの課題を抱えていました。

上人ヶ浜と砂湯の歴史

上人ヶ浜は、鎌倉時代の僧侶、一遍上人が九州に上陸したと伝わる由緒ある海岸です。この浜では古くから海岸に湧き出る温泉を利用した天然砂湯が点在し、別府湾沿岸の浜脇温泉、別府温泉、亀川温泉と共に多くの人々を癒し、活気に満ちていました。しかし、国道の拡幅工事による海岸の埋め立てが進み、天然の砂湯は次第に姿を消していきました。

こうした状況の中、1986年、唯一自然の海岸線が残る上人ヶ浜に別府海浜砂湯が誕生しました。その後、2002年には改築工事が行われ、可動式屋根や休憩所の増設など、利用者の利便性を向上させるための整備が進められました。ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで2つ星を獲得するなど、高い評価を得ていました。

再生への取り組み：パークPFI方式

別府海浜砂湯は、特にゴールデンウィークや週末には最大3時間もの待ち時間が発生するほどの人気ぶりでした。しかし、予約システムがないことや、多人数での利用が難しいこと、駐車場の不足など、運用上の課題も多く存在していました。

そこで別府市は、施設の拡張を検討。2017年には民間事業者からの意見を募るサウンディング調査を実施し、隣接する旧別府市美術館の跡地を含めた一体的な再開発計画を策定しました。

2021年には、公園の整備と運営を民間事業者に行わせるパークPFI方式を採用する事業者を公募。そして、東京都のティーケーピーが提案した計画が採択されました。この計画に基づき、2023年3月31日に市営施設としての別府海浜砂湯は廃止され、現在は、砂湯の拡張や新たな宿泊施設の建設工事が進められています。

施設概要とアクセス

別府海浜砂湯は、砂湯の他に、内湯、休憩室、足湯などを備えていました。砂湯は、最大12人が同時に利用できる槽が2つあり、交互にお湯を満たして清掃することで、常に清潔な状態を保っていました。2016年度の砂湯利用者数は53,374人に上り、その人気ぶりが伺えます。

アクセスは、大分自動車道別府ICから車で約15分、JR九州日豊本線別府駅から車で約10分、別府国際観光港からも車で約5分と、観光客にとって便利な立地でした。公共交通機関では、JR九州日豊本線別府大学駅から徒歩8分、または別府駅東口からバスで約15分でした。

今後の展望

民間事業者による再整備を経て、別府海浜砂湯は新たな姿で生まれ変わろうとしています。拡張された砂湯と、新たに誕生する宿泊施設は、別府温泉の新たな魅力として、多くの観光客を呼び込むことが期待されます。上人ヶ浜の豊かな歴史と自然を活かした、更なる発展が期待されます。

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