前ゴムシューズ

前ゴムシューズ

前ゴムシューズとは、スニーカーの一種であり、甲の部分にゴムを取り入れたデザインが特徴的な靴です。この靴は、「前ゴム運動靴」とも呼ばれ、一般的にスリッポンスタイルとして知られています。かつてのズック靴がその名残を持ち、エラスチック製の半円形のゴムをはめ込むことで「前ゴム」という名称がついています。

歴史的背景

前ゴムシューズは、実は戦前から存在していたものですが、昭和30年代に素材をズックからビニール（PVC）に変えることで広く普及しました。ズックとはオランダ語の「doek」に由来し、平織りの黄麻繊維を用いた布を指します。昭和時代にはこの靴が小・中学生の通学靴としても広く使われるようになりましたが、その後は上履きとしての使用が主流となりました。韓国でも1950年代から60年代にかけて類似の靴が製造されていたことが知られています。

主な用途

現在、前ゴムシューズは主に学校や工場、病院での上履きとして重宝されていますが、1975年頃までは子どもたちの一般的な通学靴としても広く利用されていました。特に、丈夫で劣化しにくいため、長い期間にわたって使用できるのが特徴です。さらに、一部の小学校では「良い子靴」として奨励されていた時期もありました。

また、1970年代後半から1980年代初期には、ファッション雑誌に取り上げられることもあり、若い女性たちの間でおしゃれ靴として利用されるようになりました。ビニール製の鮮やかな色合いの靴は、当時の街中で目にすることができました。最近では、ハイテクスニーカーに代わる存在として、子どもたちの足元からは姿を消しつつあるものの、大人たちには依然として人気を集めている一足です。

バリエーション

前ゴムシューズには様々なデザインが存在します。中には、三角形の前ゴムを採用し、通気性の良いメッシュ素材を使ったタイプがあり、中学校や高校の上履きとして用いられることも増えています。また、女性向けのファッションアイテムや、子ども向けのデザインもあるため、さまざまな年齢層に合った選択肢が用意されています。

輸入雑貨店でも前ゴムシューズを見かけることがあり、中国やアジア諸国でも同様の靴が製造されている様子が伺えます。

価格と入手方法

価格に関しては、ビニール製の前ゴムシューズが約1000円前後、布製は1300円から2000円ほどで販売されており、一般的な運動靴と比べて手頃な価格設定が魅力です。ただし、地域によっては販売店舗が少なく、インターネットでの購入が主流となっています。特に、各メーカーの公式サイトや専門店舗での取り扱いが多く見受けられます。

主なメーカー

現在も製造を続けている主なメーカーには、アキレス、アサヒシューズ、ムーンスターなどがあります。アキレスは「ハイロケット」という商品名で、各種カラーを展開。アサヒシューズは「ハイゼクトスクールK」などを製造しており、ムーンスターも独自のデザインを展開しています。これらのメーカーは、近年の消費者の趣向に合わせた商品開発を行っており、時代に即した前ゴムシューズを提供し続けています。
このように、前ゴムシューズはその独自のスタイルと機能性から、幅広い年齢層に愛されるアイテムとなっています。

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