前多俊宏

前多 俊宏

日本の実業家、エムティーアイ創業者、現代表取締役社長の前多俊宏（まえた としひろ）は、1965年1月19日に青森県青森市で生まれました。

経歴

前多氏は、中学生の頃から将来の独立や起業を志していたと伝えられています。大学時代には、様々な分野で活躍する企業の経営者たちの話に積極的に耳を傾け、経営哲学や事業に対する考え方を学ぶ機会を多く持ちました。

1987年に千葉大学工学部機械工学科を卒業。同年4月には日本アイ・ビー・エム株式会社に入社しましたが、約1年で同社を退職し、株式会社光通信へと活躍の場を移しました。光通信ではキャリアを積み、1990年には取締役の任に就き、経営の一端を担う貴重な経験を得ました。

エムティーアイの創業と成長

光通信での経験を経て、1996年8月、前多氏は自らの手で株式会社エムティーアイを創業しました。創業と同時に代表取締役社長に就任し、新たな事業の立ち上げに邁進します。

エムティーアイ設立当初から、前多氏は将来的な株式公開を経営戦略の重要な目標の一つとして定めていました。特に注目したのは、当時、通信技術の進化と共に急速に普及し始めていた携帯電話です。前多氏は、携帯電話の性能が飛躍的に向上し、遠からずパーソナルコンピュータに匹敵する高度な情報端末になるとの強い確信を持っていました。そして、この携帯電話の発展こそが、エムティーアイの事業拡大と成長にとって最も重要な鍵になると見据えていました。

この先見の明に基づき、エムティーアイはモバイルコンテンツや関連サービスといった携帯電話関連事業に重点的に取り組みました。その結果、事業は着実に成長を遂げ、創業からわずか3年余りの1999年10月には、念願だった株式の店頭公開（当時のJASDAQ市場の前身）を実現しました。これは、創業間もない企業としては異例の速さであり、大きな注目を集めました。

大幅な株式分割

さらに同年、前多氏は投資家コミュニティからの注目をさらに高める大胆な施策を実行しました。それは、エムティーアイの株式1株を15株に分割するという、当時としては極めて大幅な株式分割です。この措置は、一株当たりの株価を引き下げることで、個人投資家がより少額の資金で株式を取得できるようにすることを主な目的としていました。これにより、投資家の層を広げ、市場におけるエムティーアイの認知度向上と流動性の向上を図りました。こうした積極的なIR（投資家向け広報）戦略も、企業の価値向上に繋がる要因となりました。

前多氏が予見した通り、携帯電話（後のスマートフォンを含む）は高度な情報端末へと進化し、現代社会において生活に不可欠な存在となりました。彼の携帯電話市場の将来性に対する確固たる信念と、それを自社事業の成長戦略の中核に据え続けた経営姿勢が、エムティーアイの持続的な発展を支えていると言えるでしょう。

現在も、前多俊宏氏はエムティーアイの代表取締役社長として、同社の経営を牽引し続けています。

もう一度検索