前田達明

前田達明先生は、1940年生まれの日本の法学者で、京都大学名誉教授の称号をお持ちです。民法を専門とされ、特に不法行為法と家族法の分野で数多くの重要な研究成果を発表されています。

研究内容

前田先生の専門分野の一つである不法行為法においては、帰責事由に関する独自の研究を展開されました。その中で、故意責任は意思責任であり、過失責任は信頼責任であるという独自の学説を提唱されたことは特筆に値します。この学説は、不法行為法における主観的意思責任と客観的過失責任論を帰責事由の観点から発展させたものであり、同様の論理を債権総論にも適用されています。

人物と経歴

前田先生は京都市で生まれ育ち、1964年の司法修習と1970年のドイツ留学を除いては、生涯を京都で過ごされました。旧姓は「乾」であり、初期の研究業績である「不法行為法についての一考察㈠」（法学論叢81巻4号、1967年）は乾達明名義で発表されています。また、松岡久和先生、窪田充見先生、佐久間毅先生など、多くの優れた法学者を育成されました。

略歴

1963年 司法試験合格
1964年 京都大学法学部卒業、司法修習生（司法修習第18期1組）
1978年 京都大学教授に就任
2004年 京都大学名誉教授となられ、同志社大学大学院司法研究科教授に就任

主要な業績

前田先生は、数多くの著作や論文を発表されており、日本の民法学、特に不法行為法の分野において、多大な貢献をされています。以下に代表的な著書を挙げます。

『不法行為帰責論』（創文社、1978年）
『判例不法行為法』（青林書院新社、1978年）
『民法Ⅳ-2』（青林書院新社、1980年）
『不法行為法理論の展開』（成文堂、1984年）
『愛と家庭と』（成文堂、1985年）
『口述債権総論』（成文堂、第3版、1993年）
『史料民法典』（編著。成文堂、2004年）
『史料債権総則』（監修。成文堂、2010年）

前田達明先生の学術的な業績は、日本の民法学研究において重要な位置を占めており、後進の研究者たちに多大な影響を与え続けています。

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