副手

旧制大学における副手の役割と歴史

旧制大学において、副手は助手や助教を補佐する役割を担っていました。研究室業務の補助や研究支援が主な業務内容で、教務職員や教務補佐員と類似した職種と言えるでしょう。現代においては、大学独自の規定に基づき、いくつかの大学で設置されている職となっています。

旧制大学では、副手は助手とほぼ同様の業務を行い、いわば助手の代用人員として機能していました。東京帝国大学を例に取ると、1893年（明治26年）の助手の官制化に伴い、それまでの無給・有給助手制度に代わり、副手制度が導入されました。副手は無給で、各学部（当時の分科大学）の実験場や病院などに配置され、大学院生や卒業生の中から選抜されました。部局長の推薦を経て大学総長が任命し、2年以上勤務し一定の成果を上げた者には、総長から証明書が授与されました。

副手制度が導入された背景には、官制によって助手の定員が制限され、自由に採用することが困難だったという事情があります。副手制度によって、同様の業務を担う人員を柔軟に採用することが可能になったのです。その後、東京帝国大学における副手制度は、徐々に変化を遂げました。1909年には他の帝国大学卒業者の任用が可能となり、1911年には有給の副手も認められました。さらに1919年には、帝国大学卒業生以外でも「相当の資格」を持つ者の任用も可能となりました。

東京帝国大学だけでなく、他の帝国大学や高等教育機関にも副手制度は存在し、その内容はほぼ同様でした。官立単科大学の大部分、そして助手ポストを持つ一部の高等教育機関にも副手が置かれていたようです。

副手制度の廃止と教務職員制度

1949年5月31日の「臨時職員制度の廃止」により、副手制度は廃止され、多くの副手は助手に転換されました。しかし、この際に助手への転換を逃した者たちのために、暫定的な措置として教務職員制度が導入されました。この制度導入によって、問題の本質的な解決は先送りされたと言えるでしょう。

現在、副手を設置している大学

現在でも、いくつかの大学で独自の規定に基づき副手制度、またはそれに類する制度が存続しています。例として、学習院大学、文化学園大学、東京電機大学、京都造形芸術大学、大阪芸術大学、東北芸術工科大学、多摩美術大学、フェリス女学院大学、横浜美術大学などが挙げられます。これらの大学では、研究支援や教育補助といった役割を担う職員が、副手、あるいはそれに類似した名称で雇用されていると考えられます。

副手を経験したノーベル賞受賞者

日本のノーベル賞受賞者の中でも、湯川秀樹、朝永振一郎、下村脩、本庶佑の各氏が、かつて副手として活躍した経験を持っています。これは、副手が日本の学術の発展に貢献した重要な役割を担っていたことを示唆しています。

まとめ

旧制大学時代の副手は、助手制度を補完する重要な役割を担い、日本の高等教育に貢献しました。制度の変遷を経て廃止されましたが、その精神は、現代の大学における様々な職種に受け継がれていると言えるでしょう。 現在でもいくつかの大学で類似の職種が存在し、日本の学術・教育界を支える人材育成に貢献しています。 特にノーベル賞受賞者も経験したこの職務の歴史的意義は、日本の高等教育史において特筆すべき点と言えるでしょう。

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