創造アイデアロボットコンテスト全国中学生大会

概要

全日本中学技術家庭科研究会が主催する、中学生を対象としたロボット競技大会です。「ロボコン」とも通称され、ものづくりや技術に対する興味関心を高め、創造力や問題解決能力を育成することを目的としています。2000年度に第1回大会が開催されて以来、毎年多くの生徒が参加しています。

参加資格

本大会に出場できるロボットは、中学校における技術・家庭科の授業や、総合的な学習の時間、あるいは部活動などの教育活動の中で製作されたものに限定されます。これは、大会が学校教育の一環として位置づけられているためです。

部門構成

大会の部門構成は、時代の変化や中学校の教育課程の改訂に合わせて変遷してきました。

- 最初の大会（2000年度）はA、B、Cの3部門でスタートしました。
- 2002年度の第3回大会からはA1、A2、B、Cの4部門体制となりました。
- 2009年度には、授業内部門、応用部門、映像部門の3部門に大幅な変更が加えられました。これは、中学校における技術・家庭科の内容変更に対応したもので、従来のA部門が応用部門の系譜に、B部門が廃止され、授業内で取り組むことを想定した授業内部門が新設された形です。
- 2015年度には、基礎部門、活用部門、応用部門の3部門に再編。初心者でも取り組みやすいようモーター2個までのロボットで参加できる基礎部門が新設され、授業内部門は活用部門へと名称が変わりました。
- 2021年度には、再び部門編成が見直され、基礎部門、計測・制御部門、応用・発展部門の3部門となりました。従来の基礎部門は発展的な部門となり、活用部門が新たな基礎部門に、応用部門が応用・発展部門へ移行し、自律制御に特化した計測・制御部門が新設されました。
- 直近の2024年度からは、部門名称が基礎部門、制御部門、応用部門に変更され、計測・制御部門は制御部門、応用・発展部門は応用部門とシンプルになりました。

現在の主要な競技部門は以下の通りです。

- 基礎部門: 主にモーター4個以内のロボットで参加する部門で、比較的容易な課題に取り組みます。以前の授業内部門や活用部門と同様の難易度と位置づけられており、最も参加チームが多い部門です。
- 制御部門: モーター3個までの自律制御ロボットによる競技です。人間の遠隔操作は認められず、プログラミングによる正確な動作が求められます。
- 応用部門: 最大6個までのモーターを使用可能なロボットで、より複雑で高度な技術や戦略が必要とされる競技に挑戦します。

大会運営形式

大会は、地域予選から全国大会へと段階的に進む仕組みです。

地区大会

地区大会は、各都道府県および地域の技術家庭科研究会が主体となって実施されます。形態としては、都道府県単位で行われる「都道府県大会」と、全国を六つのブロックに分けて行われる「ブロック大会」が存在します。生徒たちはまず都道府県大会に参加し、そこで優秀な成績を収めることでブロック大会、そして全国大会への推薦を目指します。

ブロック大会から全国大会への推薦チーム数は全国で統一されていますが、その他の運営細目（例：賞の種類、競技方式など）は各地域の実情に合わせて定められるため、地区大会ごとに若干の差異があります。会場は中学校の体育館や公共施設などが利用されることが一般的です。

全国大会

全国大会は、全日本技術家庭科研究会が主催する、大会の最終ステージです。参加できるのは、全国のブロック大会で正式な推薦を受けたチームです。推薦枠に加え、出場チーム数に欠員が生じた場合などには、次点やその次のチームが繰り上げで出場できるケースもあります。

全国大会への出場権を獲得したチームは、事前に製作したロボットの画像や説明資料を提出することが義務付けられています。ブロック大会からのロボットの大幅な設計変更は認められておらず、提出写真との照合による審査が行われます。

全国大会は通常2日間にわたって開催されます。初日には、審査員に対するロボットのプレゼンテーションと、予選リーグ、その後の決勝トーナメントが行われます。2日目には、成績発表と表彰式が実施されます。予選リーグは各ブロック代表チームによる総当たり戦で、上位のチームが決勝トーナメントに進出します。決勝はトーナメント形式で優勝チームが決定されます。

横須賀大会

神奈川県横須賀市で独自に開催されているロボット競技大会で、横須賀市教育委員会などが主催し、市内のすべての中学校が参加できます。2004年度に第1回大会が開催されました。

この大会は、都道府県大会やブロック大会、全国大会とは直接繋がるものではありません。大会での成績がこれらの上位大会への出場に影響することはありませんが、生徒たちの神奈川県大会などへの参加を促す地域大会としての役割を担っています。部門区分や競技ルール、実施要項は、上位大会に準拠した形式（基礎部門、制御部門、応用部門など）で行われます。

競技ルールの変遷と多様性

各部門の具体的な競技ルールは、全国ロボコン運営事務局のルール検討会議によって毎年新たに検討・決定されます。選出された代表県がルールの原案を作成し、それを基に検討会議で協議を経て最終的なルールが確定、大会公式ウェブサイトで公表される流れです。

競技内容は年度ごとに異なり、社会的なテーマや技術的な課題が設定されます。過去には以下のような多様なルールが実施されてきました。

- 2024年度: 「被災地の復旧」をテーマに、支援物資の運搬や瓦礫撤去などを行う競技が実施され、部門名称の一部変更やレギュレーションの調整がありました。

- 2021年度: 新型コロナウイルスの影響で、各部門がオンライン対戦を考慮したルールとなり、全国大会もZoomによるオンライン開催となりました。部門の再編や基礎部門の参加制限などが導入された年度でもあります。

- 2019年度 (活用部門): 「Lift or drop a block」として、穴あきブロックを特定のゴールに積み上げる競技が行われました。

- 2017年度 (基礎部門): 「はじめてのおつかい2017」として、アイテム運搬のタイムトライアルが実施され、運搬個数や往復回数に制限がないルールでした。

- 2015年度 (基礎部門): 初めて新設された基礎部門では、2足～6足歩行ロボットによるコース往復とアイテム運搬のタイムトライアル「はじめてのおつかい2015」が行われました。

- 2013年度 (応用部門): 「Shooting Star Second-season」では、ボールを相手コートに送り込む競技に加えて、自律制御を行う「ビックリドッキリメカ」の参加が認められるなど、応用的な要素が盛り込まれました。

- 2012年度 (授業内部門): 「Gather & Throw」として、丸めた紙アイテムを相手コートに投げ入れ合う競技が導入されました。

これらの多様な競技課題を通じて、生徒たちはロボットの設計・製作技術はもちろん、センサーを活用した制御、プログラミング、さらには競技戦略の立案やチームワークといった幅広い能力を培っています。この大会は、未来の技術者を育む重要な機会となっています。

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