劇団東京都鈴木区

劇団東京都鈴木区（げきだんとうきょうとすずきく）は、脚本家・演出家であり声優でもある鈴木智晴が主宰し、2009年6月に設立された日本の演劇ユニットです。

特色と作風

劇団の根幹をなすのは、旗揚げ以来変わらず追求されている「ウェルメイド・コメディ」のスタイルです。これは、物語の中に巧妙に張り巡らされた伏線が、終盤に向けて鮮やかに回収されていく構造を持つ喜劇を指します。観客は笑いながらも、物語の緻密な構成に感心させられ、深い満足感を得ることができます。ユーモラスなセリフの応酬や個性的なキャラクター設定に加え、時として社会的なテーマや人間心理を織り交ぜることで、単なる笑いに終わらない深みのある作品を生み出しています。予測不能な展開と論理的な結末の融合が、劇団東京都鈴木区の舞台の大きな魅力です。

沿革と活動

設立以降、劇団は東京都内を中心に活発な公演活動を展開してきました。本公演に加え、若手公演や再演、さらには外部団体との共同企画も積極的に行っています。
ユニークな活動としては、2013年に地上波テレビ番組『進撃のヒーロー』に出演したことが挙げられます。番組内で実施された大縄跳び対決で勝利を収め、自らの公演をテレビで宣伝する権利を獲得するという、演劇界では珍しいプロモーション手法を試みました。
また、劇団内には企画団体として「鈴木区朗読文化協会」が存在しており、朗読劇の上演なども手掛けています。主宰である鈴木智晴の声優としての活動経験が反映されたものであり、同協会の会長は声優の間島淳司が務めています。
時には予期せぬ出来事に見舞われることもありました。2017年春には、劇団員9名によるグアム旅行を計画していましたが、利用予定だった旅行会社てるみくらぶの倒産により、計画が頓挫するという経験もしています。近年では、社会情勢の変化に対応し、オンライン配信や無観客収録といった新たな形式での作品発表も行い、活動の幅を広げています。

メンバー

劇団は、主宰の鈴木智晴を中心としたメンバーで構成されています。現在の主なメンバーは、宮岡あづさ、戸田早奈美、桐山菜穂、長治佳子、山口征秀、長谷周作、宝田直人、谷口菜摘、橘実咲季、本田一誓といった面々です。彼らは劇団の多くの作品に出演し、劇団の目指すウェルメイド・コメディを体現しています。また、過去の公演には多数の著名な声優陣がゲストとして参加しており、劇団の活動に彩りを添えています。

主な公演作品

劇団東京都鈴木区は、これまでに数多くの作品を上演してきました。以下に、旗揚げからの主な公演の一部を年代順に示します。

2009年
無気力宇宙船メロディライナー55号
2010年
The 時給探偵 〜17時までの名探偵〜
TOKYO RADIO CLUB!
2011年
ヘッドライン×デッドライン
弁護士バイロン（原作：つかこうへい）
2012年
ヒーローアゴーゴー!
キミが、No.1☆ ／ The 時給探偵 〜デカ長・園田獄太郎の憂鬱〜
2013年
ヒーローアゴーゴー! 〜デパート屋上編&遊園地編〜
いるわけないしっ!
2014年
ヒーローアゴーゴー! 〜デパート屋上編2014〜（大阪公演）
いるわけないしっ!（劇団鴉霞とのコラボ）
2015年
翔べ! スペースノイド
BLT 〜少女と金魚鉢〜
2016年
ラストオーダー90分
朗読劇 キミが、No.1
2017年
ヘッドライン×デッドライン
先輩、服を着てください
ヨンコマ。
無気力宇宙船メロディライナー55号（若手公演）
2018年
魂殻少女 〜こんがらガール〜
翔べ! スペースノイド（合同会社シザーブリッツとのコラボ）
弁護士バイロン 〜もうひとつの熱海殺人事件〜
いるわけないしっ!
2019年
ミュージカル時給探偵
ラストオーダー90分（吉本興業とのコラボ）
2020年
にぶんのいち、じぶんのいち（オンライン配信）
ヨンコマ。（オンライン配信）
ヒロイン･ア･ゴーゴー! 〜あの日の魔法少女〜（無観客収録）
朗読劇 BLT〜少女と金魚鉢〜
2022年
リセマラ･ハイ! 〜おれたちはやり直す、何度でもだ〜
2023年
* トーキョーレディオクラブ! 二期

緻密かつユーモラスな脚本、そしてキャスト陣の確かな演技力によって織りなされる劇団東京都鈴木区の舞台は、観客に上質なエンターテインメントを提供し続けています。今後の活動にも大きな期待が寄せられています。

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