劇団欅

劇団欅について

劇団欅（げきだんけやき）は、日本の演劇界において特異な位置を占めていた劇団で、1965年に結成されました。その背景には、現代演劇協会の内部での分裂があり、福田恆存の指導のもとで、映画制作会社の「にんじんくらぶ」からの俳優たちが移籍して創設されたという経緯があります。

設立の経緯

1963年に発足した現代演劇協会は、現代的な演劇を追求する団体として位置づけられていましたが、映画の制作会社「にんじんくらぶ」の経営危機が影響し、その俳優たちが新たな勢力を結成することになりました。福田恆存は、映画と宝塚出身の俳優を中心に集め、「市民劇の確立」をテーマとしてエンターテイメント性が重視された劇団を立ち上げることを決意しました。このように、劇団欅は純粋な劇団というよりは、芸能プロダクションの性格が強かったと言えるでしょう。

初期の活動

1977年には劇団員が9名集まり、現代演劇協会附属・劇団欅としての第一歩を踏み出しました。初公演は1967年の「億万長者夫人」であり、これはバーナード・ショーの作品を福田がアレンジし、演出を手掛けたものです。この公演は、劇団のエンターテイメント性を象徴するものでした。

経歴の変遷

劇団欅は、その後も多くの俳優が在籍し様々な公演を行いましたが、1974年には主力の俳優が相次いで離脱し、経営が厳しくなる局面を迎えます。このため、福田に近い俳優たちが劇団雲から移籍するなどの措置が取られました。しかし、1976年には最終的に残存していた劇団雲側のメンバーと合流し、劇団昴へと再編されることになります。このように、劇団欅は結成から解散に至るまで、社内外の様々な影響を受けながら活動してきた劇団でした。

主な所属俳優

劇団欅には数多くの著名な俳優が在籍しました。たとえば、岡田眞澄や南原宏治、藤木孝といった俳優は、後にそれぞれ独自の道を歩むことになりました。また、内田朝雄、山下洵一郎、朝丘雪路など、映画界でも活躍する俳優が多く在籍していたことも、劇団の特異性を際立たせる要因でした。

結論

劇団欅は、短い歴史の中でありながら、エンターテイメント性を重んじ、現代日本の演劇に与えた影響は多大なものでした。この劇団の活動は、演劇の枠を超え、さまざまな分野で活躍する人材を輩出するきっかけとなったのです。解散後も、彼らの影響は日本の演劇界に色濃く残っています。

もう一度検索