力水 (相撲)

力水（ちからみず）とは

力水は、大相撲における重要な儀式のひとつであり、力士が清めの水を受け取る行為を指します。これは、神聖な土俵に上がる際に身を清める目的で行われ、特に十両以上の取組での実施が規定されています。

力水の作法

力水を行うには、まず土俵の両側に水桶を配置します。水桶は、白房下と赤房下にそれぞれ1個ずつ置かれます。次に、呼出（呼び出し役）が水桶から柄杓を用いて水を汲み、力水をつける役の力士に渡します。この力士は、料金水を口に含むものの、直接柄杓には口をつけないという作法があります。正規の形では片膝を立て、もう一方の足は蹲踞（そんきょ）する体制で受け取りますが、現在では蹲踞の姿勢で受ける力士がほとんどです。例外的に、豊真将のように伝統的な作法を守る力士もいます。

力水の後、力士は特別な紙（力紙）を使って口元を隠しながら、口に含んだ水を土俵の側にある盥（たらい）に吐き出し、顔や汗を拭いながら処理します。勝利した力士は、取組の前に水を飲むこともありますが、これは状況に応じた判断です。

歴史的な変化

柄杓が採用されたのは1941年からで、それ以前は盃が使用されていました。また、2020年3月の新型コロナウイルスの影響で、大相撲は「エア力水」として、柄杓を使わずに身を清める形式を採用しました。この新たな形は、2023年の9月場所まで続きましたが、11月場所で元の作法に戻っています。

力水をつける力士

力水を提供する力士は、原則として直前の取組で勝利した者が務めます。負けた力士は、この役割を果たすことができません。勝った力士は次の力士に水をつけるために土俵下で待機し、負けた力士はそのまま退場します。特に、千秋楽や新年初日の取組では、次の取組の力士が自ら力水をつけることもあります。不戦勝の場合も同様のルールが適用されます。

結び前の取組で勝利した力士は、次の取組において水をつけた後、土俵下で控えます。このため、2回の取組で両者勝った場合には、力水は次の取組の力士がつけることになります。また、付け人が水をつけることもありますが、この場合は当日の取組で勝利した付け人、または取組がなかった付け人がその役割を果たします。

使用する水

力水に使われる水は、福岡県直方市にある米菓製造会社・もち吉によって、1992年3月場所から無償提供されています。この伝統的な水は、相撲の儀式の一部としての重要な役割を果たしています。

結論

力水は大相撲において、力士が神聖な舞台に立つための重要な儀式であり、その作法や使用される水の由来を理解することで、より深く大相撲の文化に触れることができます。

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