加藤守雄

加藤守雄：折口信夫研究を深めた国文学者

加藤守雄（1913年11月2日-1989年12月26日）は、日本の国文学者として知られています。愛知県名古屋市に生まれ、慶應義塾大学経済学部予科を経て、文学部国文学科に進学しました。同級生には、後に著名な哲学者となる井筒俊彦や池田弥三郎がいました。

大学院進学後、加藤守雄は折口信夫に師事します。折口信夫は、日本の民俗学者、国文学者として高く評価されており、加藤守雄の研究人生に大きな影響を与えた人物です。師事期間中は、折口信夫の生活の世話をしたり、研究活動に深く関わったりしました。

1944年には、國學院大學文学部講師を務めた後、名古屋の実家へ帰郷します。この帰郷は、折口信夫との複雑な人間関係が背景にあります。折口信夫から同衾を要求されたという逸話は、加藤守雄の人物像を考える上で重要な要素です。

戦後、加藤守雄は玩具卸商を営む傍ら、学問の世界にも関わっていました。1953年には角川書店に入社し、『短歌』の編集長を務め、その後は立教高等学校や文化学院などで教鞭をとりました。慶應義塾大学新聞研究所講師や國學院大學折口博士記念古代研究所客員なども歴任し、教育者として幅広く活躍しました。

加藤守雄の研究活動の中心は、師である折口信夫の研究でした。1960年には『折口信夫の方法』を発表し、折口信夫の思想や研究方法を深く掘り下げました。また、『わが師折口信夫』や『折口信夫伝－釈迢空の形成』といった著書を執筆し、折口信夫研究に多大な貢献を果たしました。さらに、池田弥三郎氏らと共編著で『折口信夫回想』、『迢空・折口信夫研究』などを出版し、折口信夫の業績を後世に伝える役割を果たしました。晩年は『異郷の生』を発表し、肺癌のため死去しました。

加藤守雄は、折口信夫という巨星の下で研鑽を積み、その影響を強く受けながらも、独自の視点で折口信夫研究を深めました。師への深い敬愛と、複雑な人間関係、そして学問への情熱を併せ持った人物として、日本の国文学史に名を刻んでいます。彼の研究は、現在でも高く評価され、折口信夫研究において重要な参考文献として参照されています。

加藤守雄の生涯は、激動の時代を生き抜いた一人の学者の物語であり、師弟関係の複雑さや、学問への揺るぎない情熱、そして時代の流れの中で葛藤しながらも、自らの道を歩み続けた人生を物語っています。彼の業績は、後世の研究者たちに大きな影響を与え続け、折口信夫研究のみならず、日本の国文学研究全体に貢献したと言えるでしょう。加藤守雄の残した著作は、これからも多くの人々に読み継がれ、新たな知見を生み出すことでしょう。

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