加藤薫 (実業家)

加藤薰（かとう かおる）氏は、1951年5月20日生まれの日本の実業家です。NTTドコモの代表取締役社長を始め、電気通信事業者協会の副会長、日本テレワーク協会の会長など、日本の情報通信業界において重要な役割を担ってきました。大阪府出身であり、そのキャリアは技術者としての側面と経営者としての側面の両面を持ち合わせています。

技術者としてのキャリア

加藤氏は、1975年3月に名古屋工業大学工学部電気電子工学科を卒業し、1977年3月には同大学院工学研究科電子工学専攻を修了しました。同年4月には日本電信電話公社（現在のNTT）に入社し、技術者としてのキャリアをスタートさせました。初期には、移動体通信事業部で担当課長を務めるなど、携帯電話黎明期における無線技術の開発に携わりました。

特に、ショルダーホンと呼ばれる初期の携帯電話の開発に深く関わったことは特筆されます。1985年8月12日に発生した日本航空123便墜落事故の際には、翌月にサービス開始を予定していたショルダーホン12台を自衛隊や警察に提供するため、NTTのチームを率いて事故現場に赴き、その迅速な行動と技術力が人命救助に貢献しました。

経営者としてのキャリア

その後、加藤氏はNTTグループ内で様々な要職を歴任しました。1988年2月には日本電信電話神戸支社の副支社長、1990年には国際調達室の担当課長、1991年には同室の担当部長、1992年には北陸支社の設備企画部長などを務めました。1994年からは、NTT関西移動通信網（後のNTTドコモ関西）で総務部や設備部の担当部長を兼任し、1996年にはNTT移動通信網（後のNTTドコモ）の経営企画部担当部長に就任しました。

1999年7月にはNTT関西移動通信網の設備部長兼総務部担当部長、2000年4月にはNTTドコモ関西の設備部長兼総務部担当部長に就任しました。これらの役職を通じて、技術者としての経験を活かしつつ、経営者としての手腕を発揮しました。2005年6月にはNTTドコモの特別参与、翌月には三井住友カードの代表取締役兼専務執行役員に転じました。

2007年6月にはNTTドコモ関西の常務取締役に、翌月にはNTTドコモ関西の経営企画部長を兼任する常務取締役となりました。2008年6月にはNTTドコモの取締役常務執行役員経営企画部長に就任し、2009年4月にはモバイル社会研究所長を兼務しました。2012年6月にはNTTドコモの代表取締役社長に就任し、電気通信事業者協会の副会長も兼務しました。この間、NTTドコモの経営戦略を主導し、事業の拡大に大きく貢献しました。

その他の活動と現在

2016年6月にはNTTドコモの取締役相談役となり、2017年12月には日本テレワーク協会の会長に就任しました。2018年6月にはNTTドコモの相談役となり、2019年6月には三菱UFJフィナンシャル・グループの取締役に、2021年3月にはキリンホールディングスの取締役に就任するなど、幅広い分野で活躍を続けています。

加藤氏は、無線技術者としての専門知識と、経営者としてのリーダーシップを兼ね備えた人物として、日本の情報通信業界に多大な貢献をしてきました。特にNTTドコモ社長としての活躍は、同社の成長を牽引し、日本の通信インフラの発展に不可欠な存在でした。また、テレワークの普及にも尽力し、現代の働き方改革にも影響を与えています。

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