加藤進昌

加藤 進昌

加藤 進昌（かとう のぶまさ、1947年 - ）は、日本の著名な医学者であり、精神医学の分野で特に発達障害に関する研究・臨床に多大な貢献をしてきた人物です。現在、東京大学名誉教授、および昭和大学発達障害医療研究所の所長を務めています。

経歴と学歴

1947年に愛知県稲沢市に生まれた加藤氏は、東海中学校・高等学校を卒業後、東京大学医学部へと進学しました。同大学を卒業して医師免許を取得した後、医学研究および臨床の道を歩み始めます。

学術および臨床キャリア

加藤氏は長年にわたり、日本の医学教育と医療現場の第一線で活躍しました。滋賀医科大学、東京大学、そして昭和大学といった主要な大学で教授を歴任し、多くの後進の指導にあたりました。

大学での教育・研究活動と並行して、病院の運営にも深く携わりました。東京大学医学部附属病院長という重責を担ったほか、昭和大学附属烏山病院の院長も務めました。これらの病院において、高度な医療提供体制の構築や、精神科医療の質の向上に尽力しました。病院長を退任した後も、昭和大学附属烏山病院研究所の所長や、晴和病院の理事長として、医療機関の発展に貢献し続けています。

研究と専門分野

加藤氏の専門は、発達障害、特にアスペルガー症候群や高機能自閉症です。これらの障害の診断、病態解明、治療法に関する研究を長年行ってきました。近年は、子どもだけでなく、成人期になってから診断されるケースが増加している「大人の発達障害」に特に焦点を当てています。成人期の発達障害は、社会生活や人間関係における困難として現れることが多く、その理解と適切なサポートの重要性を訴えています。

啓発活動と社会への貢献

専門家としての活動に加え、加藤氏は一般への発達障害に関する正しい知識の普及にも積極的に取り組んでいます。多数の著書を執筆しており、特に「大人のアスペルガー症候群」に関する書籍は、多くの人々に読まれ、当事者やその家族、支援者にとって貴重な情報源となっています。これらの著作を通じて、発達障害の多様性や、それぞれの特性に応じた理解と支援の必要性を訴えています。

また、テレビ番組などメディアにも登場し、発達障害に関する解説を行っています。例えば、NHK Eテレの「きょうの健康」や、NHK「あさイチ」に出演し、身近な発達障害について分かりやすく説明することで、社会的な関心を高める一助となっています。『きょうの健康』誌上でも、成人期の発達障害、特に女性や高齢者における見落とされやすさなどについて解説する記事を執筆しています。

まとめ

加藤進昌氏は、長年の研究と臨床経験に基づき、発達障害分野、特に大人の発達障害に関する理解を深め、多くの人々の支援に貢献してきた医学者です。教育、研究、病院経営、そして一般に向けた啓発活動と、多角的なアプローチでこの分野の発展を牽引しています。その功績は、関連分野の他の専門家（岩波明氏、柏淳氏、本田秀夫氏など）とも連携しながら、日本の精神医療、特に発達障害医療の進歩に不可欠なものとなっています。

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