加藤雅信

加藤雅信

加藤雅信（かとう まさのぶ）は、1946年生まれの日本の法学者・弁護士。民法を専門とし、特に不当利得法の研究で知られています。東京大学で法学博士号を取得後、名古屋大学教授、上智大学教授を経て、現在はアンダーソン・毛利・友常法律事務所で客員弁護士を務めています。

来歴

東京大学法学部を卒業後、加藤一郎の推薦で東京大学助手に就任。その後、名古屋大学に移り、法学部助教授、教授を歴任しました。2007年に名古屋大学を退職し、上智大学法科大学院教授に就任。同時に、アンダーソン・毛利・友常法律事務所で渉外弁護士としての活動を開始しました。

2013年からは名古屋学院大学法学部教授を務め、後進の育成にも尽力しました。

民法改正にも積極的に関与しており、「民法（債権法）改正検討委員会」の委員を務める傍ら、独自の「民法改正研究会」を立ち上げ、民法財産法の全面改正を目指しています。

学説

加藤雅信は、不当利得法の研究において、転用物訴権研究のパイオニアとして知られています。助手論文において、最高裁判所の判例を批判し、転用物訴権の限定的承認説を提唱しました。この説は、その後の最高裁の判例に影響を与えたとされています。

星野英一の提唱した利益考量論に対しては、個別的紛争解決に傾斜しすぎているとして批判的な立場を取りつつも、形式的な概念法学にも批判的な立場を取っています。

我妻栄の学説を評価しつつも、その曖昧さを批判し、客観的な基準に基づいた理論・体系を構築しようと試みました。

不当利得法においては、通説であった「衡平説」を批判し、財産法全体を包括する「箱庭理論」を提唱。財貨移転の矯正と財貨帰属の確保という2つの視点から不当利得を考察しました。

財産権を物権と債権に峻別し、債権は債権者代位権などを媒介した場合にのみ対外的に主張できるとしました。

物権法においては、不完全物権変動説を批判し、二段階物権変動論を主張。不法行為においては、要件を権利侵害類型と違法侵害類型に分け、「不法行為二分論」を提唱しました。

著作

加藤雅信は、数多くの著作を発表しており、民法学の発展に大きく貢献しています。

『事務管理・不当利得・不法行為』
『財産法の体系と不当利得法の構造』
『現代不法行為法学の展開』
『現代民法学の展開』
『民法ゼミナール』
『クリスタライズド民法 事務管理・不当利得』
『「所有権」の誕生』
『新民法大系』シリーズ
『迫りつつある債権法改正』
『日本民法典改正案Ⅰ 第一編 総則 』
* 『加藤雅信著作集』シリーズ

外部リンク

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 加藤 雅信

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