加養浩幸

加養浩幸氏は、日本の吹奏楽界で多岐にわたる活動を展開する人物です。指揮者、吹奏楽指導者、そしてトランペット奏者としての顔を持ち、その読み方は「かよう ひろゆき」です。

千葉県に生まれ育ち、地元の中学校、高等学校を卒業しました。家業であるパン屋を継ぐことを念頭に置いて大学へ進学しましたが、幼少の頃から好きだった音楽への思いを諦めきれず、東京音楽大学へ進路を変更しました。同大学ではトランペットを専攻し、NHK交響楽団でトランペット奏者を務めた経験を持つ金石幸夫氏のもとで研鑽を積みました。

大学卒業後、教員として千葉市緑区にある千葉市立土気中学校に赴任しました。実は、加養氏は東京音楽大学在学中から既に同校の吹奏楽部への指導に関わっていました。指導者としての初期の活動としては、1985年に大網ウインドアンサンブルを指揮して吹奏楽コンクールに出場した記録も残っています。

土気中学校の吹奏楽部顧問に就任すると、その指導力によって部を劇的に向上させました。同吹奏楽部は9年連続で全日本吹奏楽コンクールへの出場を果たす快挙を達成しました。さらに、1992年には5年連続で金賞を受賞した功績が認められ、特別演奏団体として全国大会に参加するという、学校吹奏楽部としては極めて異例の栄誉に輝きました。この連続金賞記録は、当時の吹奏楽界で大きな話題となりました。

学校教育の現場だけでなく、アマチュア吹奏楽の振興にも力を注ぎました。1988年に千葉市土気町を拠点として結成された一般吹奏楽団、土気シビックウインドオーケストラの音楽監督に1994年に就任しました。この団体でも目覚ましい指導力を発揮し、全日本吹奏楽コンクールに12回出場させ、そのうち10回で金賞を受賞するという、アマチュアバンドとしては傑出した実績を上げています。これは、加養氏の熱心かつ的確な指導の賜物と言えるでしょう。

教育者としては、かつて尚美学園の客員教授を務め、東京音楽大学では2009年から2011年まで非常勤講師として教壇に立ちました。現在は東海大学の客員准教授として、後進の育成に携わっています。また、吹奏楽界の発展に貢献するため、日本バンドクリニック委員会の委員や日本吹奏楽学会の理事といった要職も歴任しています。

国内外での文化交流活動にも積極的に関わっています。文化庁が主催した文化国際交流事業では、1997年、1999年、2001年の各年に音楽監督として携わりました。千葉県ジュニアバンドがニュージーランドやカナダへ行った海外演奏旅行でも音楽監督として指揮を執りました。さらに、1998年にはカナダのブリティッシュコロンビア州が開催したバンドクリニックに講師として招かれるなど、国際的な場でもその指導経験と実績が認められています。

これらの主要な活動に加え、日本全国の学校の吹奏楽部や様々な音楽団体に招かれて指導を行ったり、音楽コンクールの審査員を務めたりと、その活動は多岐にわたります。指揮者や講師として関わったイベントの中には、「富士山河口湖音楽祭2006」や「シエナ・ウインド・オーケストラ演奏会」といった大規模なものもあります。自身が音楽監督を務める団体以外にも客演指揮の機会が多く、客演先の楽団とのCD録音も行われています。

加養浩幸氏は、学校教育の現場からトップレベルのアマチュア団体まで、幅広いレベルの吹奏楽指導で類まれな実績を上げてきました。指導者、指揮者、そして教育者としての長年の活動を通じて、日本の吹奏楽界の普及と発展に計り知れない貢献をし続けている人物です。

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