労働災害防止団体法

労働災害防止団体法について

労働災害防止団体法は、労働災害の防止を目的として、事業主の団体による自主的な活動を促進するために制定された日本の法律です。この法律は、労働者の安全と健康を確保し、労働災害を未然に防ぐための重要な役割を担っています。

法律の目的

この法律の主な目的は、以下の2点です。

事業主の団体による労働災害防止活動を促進すること
労働災害の防止に寄与すること

法律の構成

労働災害防止団体法は、以下の章で構成されています。

1. 総則（第1条～第7条）：法律の目的や用語の定義など、基本的な事項を定めています。
2. 労働災害防止団体：労働災害防止団体に関する詳細を規定しています。
通則（第8条～第10条）：労働災害防止団体の設立や運営に関する一般的な規定です。
中央労働災害防止協会（第11条～第35条）：全国的な組織である中央労働災害防止協会の組織や業務について定めています。
労働災害防止協会（第36条～第50条）：業種別の労働災害防止協会の組織や業務について定めています。
監督（第51条～第53条）：労働災害防止団体の活動に対する監督に関する規定です。
補則（第54条～第56条）：その他、必要な事項を定めています。
3. 雑則（第57条・第58条）：その他の事項について定めています。
4. 罰則（第59条～第63条）：法律に違反した場合の罰則について定めています。
5. 附則：法律の施行期日や改正に関する規定です。

労働災害防止団体とは

労働災害防止団体とは、労働災害防止法に基づき、厚生労働大臣の認可を受けて設立された団体です。主なものとして、中央労働災害防止協会（中災防）と、業種別の労働災害防止協会があります。これらの団体は、労働災害防止活動の中心的な役割を果たしています。また、労働災害防止団体でない者は、その名称に「労働災害防止協会」の文字を含んではならないと規定されています。

中央労働災害防止協会（中災防）

中央労働災害防止協会は、全国で1つのみ設立が認められている団体です。労働災害防止協会の会員となることができない業種の全国的な団体や、労働災害防止活動を行う団体などを会員としています。中災防は、労働災害防止に関する情報提供や技術指導、教育など、幅広い活動を行っています。

中央協会の主な業務

会員間の連絡・調整
事業主や団体の労働災害防止活動の促進
教育・技術的援助のための施設運営
技術的な指導・援助
機械・器具の試験・検査
労働者の技能講習
情報・資料の収集・提供
調査・広報
その他必要な業務
国からの委託業務（安全衛生教育指導員の養成、化学物質の有害性検査、快適な職場環境形成の促進など）

労働災害防止協会（協会）

労働災害防止協会は、業種別に設立される団体で、各協会の会員は強制的に中央労働災害防止協会の会員となります。指定業種として、建設業、陸上貨物運送事業、林業・木材製造業、港湾貨物運送事業があります。これらの協会は、それぞれの業種に特化した労働災害防止活動を行っています。

協会の主な業務

労働災害防止規程の設定
会員への技術指導・援助
機械・器具の試験・検査
労働者の技能講習
情報・資料の収集・提供
調査・広報
その他、業務に付帯する業務

本法律で規定する資格

労働災害防止団体法では、労働災害防止に関する技術的な事項を指導・援助する者として、安全管理士と衛生管理士の設置を義務付けています。これらの資格は、労働安全衛生法における安全管理者や衛生管理者とは異なります。

安全管理士

安全管理士は、労働災害防止団体法施行規則等に基づき、以下のような要件を満たす者から選任されます。

鉱業に係る安全管理士
上級保安技術職員試験合格者
同等以上の知識を有する者
その他の安全管理士
大学・高等専門学校で産業安全学科卒業、7年以上の実務経験
高等学校で工業学科卒業、10年以上の実務経験
労働安全コンサルタント
大学等で産業安全学科以外の学科卒業、7年以上の産業安全の実務経験
高等学校で工業学科以外の学科卒業、10年以上の産業安全の実務経験

衛生管理士

衛生管理士は、労働災害防止団体法施行規則等に基づき、以下のような要件を満たす者から選任されます。

医師、歯科医師、薬剤師免許を持ち、4年以上の労働衛生実務経験
大学・高等専門学校で労働衛生学科卒業、7年以上の労働衛生実務経験
労働衛生コンサルタント
大学等で労働衛生学科以外の学科卒業、7年以上の労働衛生専門官等の実務経験
高等学校で理科系統以外の学科卒業、10年以上の労働衛生専門官等の実務経験

その他の資格との関連

安全管理士や衛生管理士に選任された経験のある者は、労働安全コンサルタント試験や労働衛生コンサルタント試験の受験資格を得ることができます。

関連法規

労働災害防止活動に関連する法律として、「船員災害防止活動の促進に関する法律」があり、船舶における労働災害防止活動を規定しています。

まとめ

労働災害防止団体法は、労働災害を防止するための重要な法律であり、中央労働災害防止協会や業種別の労働災害防止協会が中心となって活動しています。労働災害のない安全な職場環境を実現するために、この法律と各団体の活動が不可欠です。

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