労働省 (朝鮮民主主義人民共和国)

北朝鮮労働省について

北朝鮮労働省は、朝鮮民主主義人民共和国の内閣に属する中央行政機関であり、労働に関する幅広い分野を管轄しています。具体的には、労働条件の向上、労働環境の監督、労働者の人権と福祉の保護、職業の安定、失業対策、職業訓練、そして労働組合の指導と管理などが含まれます。

労働省の役割と機能

北朝鮮は社会主義体制を採っているため、労働省は地方の人民委員会の労働行政部門を通じて、労働政策や行政に深く関与しています。労働力の需給や賃金など、労働に関する計画を総合的に調整し、国家計画委員会や財政省といった関連機関と連携して、各部門に必要な労働力を確定させます。そして、その計画を地方の労働行政部門に指示します。

また、労働省は、高等学校卒業予定者の進路についても重要な役割を担っています。毎年年末に、大学進学者を除く労働力として供給可能な人数を推定し、健康状態の検査結果などを考慮して、各部門からの人材需要に基づいて配置計画を策定します。さらに、専門的な技術を持つ人材のニーズに対応するため、技術訓練所の職員を配置したり、教育訓練に関する支援業務も行っています。

北朝鮮は一党独裁制を敷いているため、労働省は朝鮮労働党の決定や指示に全面的に従います。党の指導の下で、労働政策が実行される体制となっています。

労働省の歴史

労働省は、1948年9月2日に北朝鮮の内閣が設立された際に、同時に設置されました。以来、北朝鮮の労働行政を担う中心的な機関として機能しています。

労働省の歴代幹部

労働省の長である労働相は、以下の人物が務めてきました。

許成沢：1948年9月2日〜1952年5月
金元鳳：1952年5月〜1958年11月
キムウンギ：1958年11月〜
ベクソンイル：1962年10月23日〜
李元一：1998年9月1日〜
鄭永洙：2008年〜2019年1月
尹江浩：2019年1月〜2021年1月17日
陳金松：2021年1月17日〜

また、労働副相も存在し、初期には李承燁が司法相と兼務していました。

労働省の法的根拠と管轄業務

労働省の活動は、以下の法律や決定に基づいて行われています。

社会主義憲法
北朝鮮臨時人民委員会第29号決定、労働者と事務員の労働法令（1946年6月24日）
社会主義労働法（1972年10月18日）第1条
労働保護法（2010年）

これらの法律や規定は、労働者の権利保護や労働環境の整備を目的としています。

労働省の傘下機関

労働省の下には、以下の機関があります。

労働定量制定処
全朝鮮民主労働組合
朝鮮職業総同盟

これらの機関は、労働政策の実施や労働者の組織化において重要な役割を果たしています。

勤労奉仕の制限

かつては、農繁期や災害時に、朝鮮人民軍の兵士や一般市民が無償で農作業に従事することが一般的でした。しかし、2002年8月に朝鮮労働党は、軍以外の勤労奉仕を制限するよう指示しました。これにより、地方自治体の労働者や公務員が無償で農作業を手伝うことがなくなり、農業のあり方を見直す必要性が生じました。

関連項目

朝鮮職業総同盟
* 労働部

これらの組織や概念は、北朝鮮の労働環境や社会構造を理解する上で役立ちます。

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