勝海舟 (NHK大河ドラマ)

NHK大河ドラマ『勝海舟』の概要

『勝海舟』（かつかいしゅう）は、1974年に放送されたNHKの大河ドラマ第12作で、原作は子母沢寛の同名小説です。このドラマは、勝海舟という歴史的人物の生涯を中心に、彼を取り巻く様々な人々の人間関係を描き出しています。放送期間は1974年の1月から12月まで、全52回にわたり放送されました。

制作背景

脚本は著名な作家、倉本聰が手掛けました。彼はキャスティングにも強く影響を及ぼし、例えば、岡田以蔵役には萩原健一を起用しました。初めは渡哲也が主人公の海舟役を演じていましたが、彼が病気により降板することになりました。そこで、松方弘樹が第10話から彼の役を引き継ぐこととなります。松方にとっては、1965年の『人形佐七捕物帳』以来のNHKドラマでの主演です。

交代の際には、長めの導入部を設けることで視聴者が変化に戸惑わないよう配慮されました。放送中、制作現場はNHK内の労使問題により混乱し、制作体制が不安定な状況が続きました。途中、脚本家の倉本が演出スタッフと衝突し、辞任を余儀なくされるなど、さまざまなトラブルが発生しました。

代役の決定過程

渡が体調不良で降板した際には、プロデューサーが急いで代役を探しましたが、他の候補者はスケジュールの都合で受けられず、最終的に松方弘樹が選ばれました。当時、松方は大阪で舞台に出演中でしたが、倉本がその出演を取りやめさせるために東映社長に直談判し、最終的に松方が代役を引き受けることになりました。彼は当初、どの作品も観ておらず、急遽原作を読み始めるなど、プレッシャーの中での準備を強いられました。

キャストと内容

主演の松方弘樹は、勝海舟というキャラクターを神経質でひ弱な人物として演じ、彼の内面的葛藤を表現しました。また、共演者には、尾上松緑、仁科明子、藤岡弘など、新旧の人気俳優たちが名を連ねました。このドラマでは、勝海舟が幕末の動乱期にどのように生き抜いたのか、その過程での人間関係や、彼の思想が深く掘り下げられています。

反響と視聴率

放送中の反響は大きく、最高視聴率は30.9%を記録しました。また、年間平均視聴率は24.2%を達成し、この数字は幕末を題材にした大河ドラマとして当時最高の視聴率となりました。

映像の現存状況とその後

現在、いくつかの回は保存されており、NHKアーカイブスやNHKオンデマンドで視聴可能ですが、多くの回の映像は失われています。2016年には一部の未放送分が発見されるなど、徐々に情報が開示されてきました。

まとめ

『勝海舟』は、大河ドラマとしての質の高さと、当時の社会情勢を反映するストーリー展開が魅力的で、多くの視聴者に愛される作品となりました。松方弘樹の熱演によって描かれた勝海舟の姿は、視聴者の記憶に深く刻まれています。

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