勢多 (砲艦)

日本海軍の砲艦、勢多（せた）

勢多は、日本海軍に属する砲艦であり、勢多型砲艦の1番艦です。1922年に播磨造船所で建造された後、上海で組み立てられ、1923年10月6日に竣工しました。最初は二等砲艦として分類されましたが、1931年に砲艦としての分類が変更されました。

艦歴の概略

勢多は、当初から警備任務に従事し、特に上海や長江方面の安全を守る役割を果たしました。1937年に勃発した日中戦争では、上海の陸上作戦を支援し、さらには長江を遡行する作戦にも参加しました。また、太平洋戦争中には長江流域の警備を行い、1944年10月1日には軍艦から砲艦に再分類されました。

終戦当時、勢多は上海に留まっており、その後は中華民国に接収されました。国府海軍に所属し、「長徳（Chang-Teh）」との名称に改められました。1949年には中華人民共和国に投降し、「閩江」と改名され、1960年代までその運用が続けられました。

艦長の履歴

本艦の艦長には、さまざまな指揮官が就任してきました。最初の艦長は鈴木幸三少佐であり、1923年の竣工から1925年までその職を務めました。その後、多くの指揮官が交代し、任務や時代に応じて艦の運用が続けられました。例えば、1935年から1937年にかけては吉見信一中佐が艦長を務め、主要な戦闘に参加しました。

その他の艦長には、寺崎隆治少佐や近藤三郎中佐など、著名な軍人が含まれています。彼らのリーダーシップの下、勢多は数多くの重要な作戦に参加し、その行動が海軍の戦略に大きな影響を与えていました。

同型艦と関連資料

勢多型砲艦には、他にも比良、保津、堅田といった姉妹艦があります。これらの艦艇も勢多と同様の任務を遂行し、当時の海軍にとって重要な役割を担いました。派遣先や任務に応じて、さまざまな地域で活躍しました。

参考文献には、海軍歴史保存会が編纂した「日本海軍史」や呉市海事歴史科学館の「日本海軍艦艇写真集」などがあり、これらの資料を通してより詳しい情報を得ることができます。また、中国の軍艦博物館でも勢多に関する資料が展示されています。

結論

勢多は、日本海軍における歴史的な砲艦であり、多くの戦闘に参加しながらもその名を刻み続けました。艦艇の運命は多くの歴史的な出来事と絡み合い、軍艦としての役割を果たしてきました。その長い歴史は、今日の海軍艦艇にとっても興味深い教訓となるでしょう。

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