化粧師 KEWAISHI

映画『化粧師 KEWAISHI』

『化粧師 KEWAISHI』（けわいし）は、2002年に公開された日本の映画で、原作は石ノ森章太郎の漫画『八百八町表裏 化粧師』です。本作は、大正時代の東京の下町を舞台に、時代背景や女性の自由な表現を描いた作品です。化粧を通じて「本当の美しさは何か」を考える内容となっており、化粧師の立場の微妙さや大正デモクラシーの影響を受けた社会情勢が詳細に描かれています。

あらすじ

物語は、大正時代の初め、小三馬という化粧師を中心に展開されます。彼は無口で偏屈とされていましたが、その腕前は特に芸者や上流階級の女性たちから高く評価されていました。「彼に化粧をしてもらうと良いことがある」との噂が立つほどです。しかし、小三馬には金のためなら何でもするという裏の顔があると囁かれています。

ある日、小夜という若い女性が小三馬のもとを訪れます。彼女は女優を目指しており、小三馬に化粧を依頼しますが、その態度は高飛車で小三馬に対して強い要求を突きつけます。小三馬は彼女に法外な金額を提示しますが、小夜は何とかそれを準備し、彼の技を受けることになります。しかし小三馬は「化粧は心にするもの。見た目だけに囚われては美しくなれない」と彼女を諭し、最終的にはごく少額を受け取るに留まります。

次に小三馬が出会うのは、時子という少女です。時子は小三馬が贔屓にしていた呉服屋で働いています。彼女もまた、不幸な過去を抱えており、奉公先での辛い生活に耐えつつ、女優になるという夢を抱いています。彼女が必死に文字の勉強をしている姿に触発された小三馬は、彼女のために最高の化粧を施そうと心に決めます。

時子はだんだんと読み書きが上手になり、恵まれない子供たちに本を読んであげるようになります。彼女の行動は、周囲の子供たちに夢や希望を与えていきます。しかし、ある日、彼らが住むバラックが立退きを求められます。役人に立ち向かおうとした時子は、立退き令状を手に入れそちらに手を出してしまいます。警察に追われる身となった時子を小三馬がかくまいますが、その過程で小三馬の隠された過去が明らかになってしまいます。

キャスト・スタッフ

本作には多彩なキャストが出演しており、印象的な演技で作品を彩ります。また、音楽に関してはHYDEの「A DROP OF COLOUR」がイメージソングとして用いられています。挿入曲には「ALEXANDER'S RAGTIME BAND」が選ばれています。

賞歴

『化粧師 KEWAISHI』は、第14回東京国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞しており、その内容の深さと脚本の質が評価されています。

本作を通じて、観客は大正時代の人々の生活や価値観、特に女性の力強さや本当の美しさについて考えさせられることでしょう。

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