北へ (小林旭の曲)

『北へ』（小林旭）

『北へ』（きたへ）は、日本の歌手、小林旭さんが1977年（昭和52年）1月25日にリリースしたシングルレコードです。この楽曲は、叙情的な歌詞と印象的なメロディー、そして丁寧な編曲が一体となり、当時の音楽シーンにおいて確かな存在感を示しました。

制作背景とヒット

このシングル『北へ』の制作は、当時を代表する音楽クリエイターたちの手によって行われました。情景豊かな詞の世界を構築したのは作詞家の石坂まさを氏です。そして、心に深く響くメロディーを生み出したのは、作曲家の叶弦大氏。さらに、楽曲全体のサウンドデザインと構成を担う編曲は、竜崎孝路氏が手がけています。これらの実力派が結集し、小林旭さんの歌声を最大限に引き出す楽曲が完成しました。

1977年という年は、小林旭さんのキャリアにとって非常に注目すべき時期でした。実は、この『北へ』が発売されるよりも前に、1975年1月にリリースされていたシングル『昔の名前で出ています』が、発売から2年という時間差を経て突如として爆発的なヒットを記録していたのです。この『昔の名前で出ています』のロングヒットにより、小林旭さんへの世間の注目度と期待感はかつてないほど高まっていました。

そうした追い風の中で発表された『北へ』は、前作の勢いを引き継ぐ形でリスナーからの支持を急速に集めます。結果として、『北へ』は累計で22万9千枚という、当時の歌謡曲としては優れたセールス枚数を記録し、1977年を代表するヒット曲の一つとなりました。これは、『昔の名前で出ています』と並行して、またはそれに続く形で、小林旭さんの歌手としての人気と実力を改めて印象づける出来事でした。

収録曲

このシングル盤には、『北へ』を含む以下の二つの楽曲が収められています。

北へ （3分52秒）
ゆきこ （3分33秒）

特筆すべき点として、シングルのA面曲ともいえる『北へ』だけでなく、カップリングとして収録された『ゆきこ』も、作詞：石坂まさを、作曲：叶弦大、編曲：竜崎孝路という全く同じ制作陣によって手がけられています。これにより、シングル全体を通して音楽的な統一感が保たれており、両楽曲ともにその時代の歌謡曲らしい叙情性や哀愁といった要素が色濃く反映された仕上がりとなっています。

『北へ』は、その情感豊かな歌詞とメロディー、そして小林旭さんの歌唱力が見事に融合した作品として、発売から長い年月を経た現在も多くの人々に記憶されています。1977年という時代に、日本の音楽シーンに確かに刻まれた一曲と言えるでしょう。

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