北丹後地震

北丹後地震の概要

北丹後地震（きたたんごじしん）は1927年3月7日18時27分39.2秒に発生した大地震であり、震源は京都府丹後半島北部の北緯35度37.9分、東経134度55.8分に位置しています。この地震はマグニチュード7.3（Mw7.0）という規模を持ち、当時の震度基準で震度6を観測した地域がありました。特に豊岡町、宮津町、峰山町などでは震度6を記録し、京都市や福井市、敦賀市、奈良県八木町、広島県松永町などでも震度5が観測されました。

地震の名称と当時の呼称

気象庁によって名付けられた「北丹後地震」という名前ですが、発生当初は地元で「丹後地震」や「丹後大震災」と呼ばれることが多く、そのため地域社会での影響や重要性を示す存在でもありました。

被害の状況

地震の影響は北近畿を中心に、広範囲に及びました。特に丹後半島の根元には著しい被害があり、京丹後市の峰山町、網野町、与謝野町では家屋倒壊率が70%から90%に達し、学校も被害を受けました。地震の発生時刻が早春の夕刻であったため、暖房器具や炊事のための火が原因で爆発や火災が各地で発生しました。特に、網野町や峰山町では大火が広がり、8,287戸が焼失しました。最も被害が甚大だったのは峰山町で、住宅や織物工場の97%が消失し、死亡率は22%に達しました。

さらに、震源から150km以上離れた鳥取県米子市でも2戸が倒壊し、大阪市鶴町では地割れにより海水が噴出し、周辺地域は泥水に浸かりました。この現象は液状化現象と考えられています。また、京都府の木津村や浜詰村では、熱湯が噴出する特異な現象も確認されました。

地震による総被害は死者2,925人、負傷者7,806人、全壊12,584棟、半壊9,443戸、焼失8,287戸でした。特に過酷な寒さと降雨が被災者に加わり、その苦しみが倍増しました。救援活動は、道路や鉄道が寸断されたため、海軍の救護隊が要請され、被災地への救援活動が行われました。

断層の動き

北丹後地震では2つの主要な断層が確認されました。左横ずれの「郷村断層」（長さ約18km）と右横ずれの「山田断層」（長さ約7km）です。郷村断層では最大80cmの隆起が見られ、桑名に270cm移動しました。一方、山田断層でも最大70cmの隆起が観測され、東に80cm移動しました。現在、郷村断層は国の天然記念物に指定され、保存されています。

地震学への影響

この地震の発生は関心を呼び、地震や断層に関する多くの研究が行われました。その後、1985年にはトレンチ調査も実施されました。この地震を契機に地震学が大きく進展し、被災者への救済活動も盛んに行われました。特に、大阪梅田の阪急百貨店は食い逃げ対策として、食券制を導入しました。この地震の被害を記録するために、京丹後市には丹後震災記念館が設立されました。

まとめ

北丹後地震は、地域に甚大な影響を与えただけでなく、地震学の発展にも寄与した重要な災害であり、今なおその記憶が私たちに残っています。この歴史を次世代へと伝えていくことが大切です。

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