北但馬地震

北但馬地震（但馬地震）

北但馬地震、または但馬地震は、1925年5月23日の午前11時11分に兵庫県但馬地方の北部で発生しました。この地震はマグニチュード6.8であり、地域に深刻な影響を及ぼしました。「北但大震災」とも呼ばれ、地域の人々の記憶に強く残ることとなります。

震度と震源地

最も大きな震度が観測されたのは、現在の豊岡市と城崎でした。ここでは震度6が記録され、その他の場所では震度5や震度4も見られました。震源地は豊岡市の中心部近くとされ、その位置は北緯35.6度、東経134.8度です。震度の分布は、兵庫県や京都府、滋賀県、岡山県、鳥取県、和歌山県、三重県にまで広がりました。

被害状況

この地震による被害は甚大で、死者は428名、負傷者は1,016名にのぼりました。建物の損傷状況も厳しく、全壊した家屋は1,733棟、半壊は2,106棟、一部損壊は45,659棟に達しました。また、焼失した建物は2,328棟、そのうち全焼は1,696棟という深刻なものでした。特に、豊岡や城崎では建物の倒壊率が高く、軟弱な地盤が影響したと考えられています。

地震発生前、円山川の河口では大きな音が続き、住民たちは不安を抱えていました。地震が発生した際、地面は強く揺れ、多くの家屋が一気に壊れました。さらに、倒壊した家屋から火災が発生し、消火活動にも大きな影響を及ぼしました。

火災とその影響

火災は、特に豊岡市街地で広がり、市中心部の約7割が焼失しました。城崎でも、非常に多くの死者が出て、特に炊事中に家屋が倒壊した女性たちが多く犠牲となりました。彼女たちは逃げることができず、焼死したとされています。

一方、震源地近くの港村田結では、83戸のうち82戸が倒壊しましたが、住民の迅速な行動により、さらなる火災の延焼は防がれました。ここでは7名の圧死者が出たものの、住民たちは消火に全力を尽くしました。こうした行動を評価した地震学者の今村明恒は、「模範的な行動」と称賛しました。

救助活動

震災後、交通網が寸断される中、近隣地域からの救助が遅れました。その中で、豊岡中学校の生徒たちが救助や消火活動に従事し、多くの命を救いました。また、朝鮮人労働者も救援活動に参加し、その功績が後に表彰されることになりました。

復旧の過程

地震後の復興では、道路の幅拡大や耐火建築の推進が重要視され、地震や火事に強い町づくりが進みました。町長は復興の手段として道路建設の必要性を訴え、以前から進められていた大豊岡構想が活発に展開されました。震災の教訓を生かし、地域社会は強靭さを増していったのです。

結論

北但馬地震は、ただの自然災害ではなく、地域の人々に深い影響を与え、復興活動を通じて新たな教訓を生み出しました。この地震は、関東地方ではなくても地震が発生する可能性があることを周知させ、地域の危機管理に新たな視点をもたらしたことで、多くの人々に学ばれるべき歴史的な出来事となったのです。

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