北原文雄

北原文雄

北原文雄（きたはら あやお、1920年1月17日 - ）は、日本の化学者であり、特にコロイド・界面化学の分野で著名な研究者です。長野県伊那市出身で、旧制諏訪中学、第一高等学校を経て、1942年に東京帝国大学理学部化学科を卒業しました。理学博士の学位を有しています。

経歴

大学卒業後、東京電気（現・東芝）に入社しましたが、1949年に佐賀県小城石炭研究所に移籍し、研究者としてのキャリアを本格的にスタートさせました。1952年には東邦大学理学部助教授に就任し、1959年には同大学の教授に昇進。1961年にはペンシルベニア州立大学で研究員として海外での研究活動も経験しました。

その後、1963年に東京理科大学工学部工業化学科の教授となり、同大学の工学部長も務めました。1995年には同大学の名誉教授となり、長年にわたり教育・研究に尽力しました。

2020年には『化学者ウィリアムソンと日本人留学生たち』を出版し、そのまえがきで千葉県内の老人ホームに入居しており、100歳を超えていることが明らかにされました。100歳を超えてもなお、研究活動を続けていることは驚くべきことです。

研究分野

北原文雄の専門分野は、コロイド・界面化学であり、その分野における基礎研究から応用研究まで幅広く貢献しました。特に、界面活性剤、分散系、乳化系などに関する研究は、学術界だけでなく産業界にも大きな影響を与えました。

学会活動

北原文雄は、研究活動だけでなく、学会活動にも積極的に参加し、日本の化学界の発展に貢献しました。

日本油化学会では、編集委員長、理事、副会長を歴任。
日本化学会では、理事を務めました。
日化誌編集委員長
コロイド及び界面化学部会部会長
色材協会理事、編集委員長

これらの役職を通じて、研究成果の発信や若手研究者の育成に尽力しました。

著書

北原文雄は、研究活動の傍ら、多くの著書を執筆しました。これらの著書は、学生や研究者にとって貴重な知識源となっています。

単著

『コロイドの話』 培風館 1984年
『界面・コロイド化学の基礎』 講談社 1994年
『界面活性剤の話』 東京化学同人 1997年
『コロイド化学史』 サイエンティスト社 2017年
『化学者ウィリアムソンと日本人留学生たち』 東光社 2020年

共著

『界面電気現象』 渡辺昌共編 共立出版 1972年
『分散・乳化系の化学』 古澤邦夫共著 工学図書 1979年
* 『ゼータ電位-微粒子界面の物理化学』 古澤邦夫、尾崎正孝、大島広行共著 サイエンティスト社 1995年


これらの著書は、コロイド・界面化学の基礎から応用までを網羅しており、この分野の研究者にとって欠かせない文献となっています。

まとめ

北原文雄は、コロイド・界面化学の分野において、教育、研究、学会活動と多方面で貢献した偉大な化学者です。その業績は、現代の化学、特に材料化学やナノテクノロジーの発展に大きく貢献しています。また、100歳を超えてもなお、研究活動を続けていることは、多くの研究者にとって大きな励みとなっています。

もう一度検索