北回帰線 (橋幸夫の曲)

北回帰線（橋幸夫のシングル）

『北回帰線』は、日本の歌手・橋幸夫が2002年12月4日にビクターエンタテインメントよりリリースした、通算169枚目となるシングルレコードである。商品形態はCD（品番：VICL-35453）とカセットテープ（品番：VISL-30551）の2種類で発売された。

概要

本作の表題曲「北回帰線」は、当時還暦を間近に控えていた橋幸夫が、人生80年の時代における50代、60代を「再スタートの年代」と捉え、新たな出発への強い自覚と心境を、自身の魂を込めて歌に表現したいという思いから制作されました。楽曲のタイトルである「北回帰線」には、「誰の中にもある、原点回帰という心の回帰線」のイメージが重ねられています。

作詞は、当時芸能活動を休止し、映画制作のために実家に戻っていた長男の橋龍吾氏に依頼されました。橋幸夫本人は自身で作詞することは稀で、家族が制作に関わる際には通常、夫人の橋凡子氏が作詞を手掛けることが多い中で、本作では長男の龍吾氏が担当したことは特筆されます。

作曲は橋幸夫本人ですが、歌手とは異なる立場で創作に臨む際に用いることの多いペンネーム「勅使原煌（てしがわら こう）」名義となっています。橋は作曲時にこの種のペンネームを使用するケースが多く、初期には「風間史郎」名義を好んで用いていましたが、この時期は「勅使原煌」を使用していました。

カップリング曲

本作には2曲のカップリング曲が収録されています。

1. ねぶた節
青森ねぶた祭をテーマにした楽曲です。制作にあたり、橋幸夫は龍吾氏と共に実際に青森を訪れ、祭を見学することで楽曲の着想を得ました。その際、青森山田学園の木村隆文理事長と交流が生まれ、レコーディングでは青森大学ねぶた囃子同好会がお囃子で協力しています。また、この「ねぶた節」の発表を機に、橋幸夫は青森ねぶた大使にも就任しました。
2. 竜飛抄～義経北帰行～
歴史上の人物である源義経を題材とし、彼が平泉から北へ向かう際のイメージを描いた楽曲です。

本作に収録されている全3曲（「北回帰線」、「ねぶた節」、「竜飛抄」）の作詞は橋龍吾、作曲は勅使原煌、編曲は庄司龍という布陣で統一されています。

楽曲の特徴

全曲の編曲を担当した庄司龍氏は、これ以前に橋幸夫のアルバム『日本の歌（こころ）』で全曲の編曲を手がけているほか、その後も橋の他のシングルで共演を重ねています。

本作のレコーディングには、楽曲に和のテイストを加えるため、様々な演奏家が参加しています。主な共演者は以下の通りです。

和笛・石笛：横澤和也
和太鼓・鼓：西川啓光
三味線：玄武（金沢有馬、椿正範）
お囃子：青森大学ねぶた囃子同好会（「ねぶた節」に参加）

また、本作のCDおよびカセットテープには、ジャケットとは別に全曲の楽譜と歌詞が添付されています。

収録アルバム

本作に収録された楽曲は、以下のアルバムにも収められています。

『橋幸夫全曲集』（2003年11月26日、VICL-61251）：全3曲（「北回帰線」、「ねぶた節」、「竜飛抄」）が収録されています。
『橋幸夫ベスト～踊り唄～』（2008年11月19日、VICL-63156）：カップリング曲の「ねぶた節」が収録されています。
『歌の架け橋～橋幸夫45周年記念』(2005年12月16日、VICL-61843～5)：CD-BOXの中に収録されています（収録内容は要確認）。
芸能生活55周年記念BOX『橋幸夫ベスト100+カラオケ15』（2015年10月28日、VFD-10300/5）：Disc2に収録されています（収録内容は要確認）。

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