北山五山

北山五山：仙台の地に息づく歴史と信仰

仙台市青葉区北山地区には、歴史と文化を深く伝える五つの寺院があります。これらは「北山五山」と呼ばれ、資福寺、覚範寺、東昌寺、光明寺、そして満勝寺の五つです。これらの寺院は、鎌倉時代に伊達氏が現在の福島県伊達郡に創建した五つの寺院を起源としており、京都五山や鎌倉五山になぞらえて「伊達五山」とも呼ばれていました。

伊達氏の居城が移転するにつれて、伊達五山も奥羽各地を転々とし、仙台開府を機に現在の北山地区に落ち着き、「北山五山」と呼ばれるようになりました。それぞれの寺院は臨済宗に属し、仙台城の城下町を守る北山丘陵に位置しています。

江戸時代初期と現在の配置：移転と変遷

江戸時代初期の配置と現在では、いくつかの違いが見られます。最も大きな変化は、満勝寺の移転です。かつては光明寺の西隣に位置していましたが、現在は北八番丁に移転しています。また、明治初期に青葉神社が創建された際に、東昌寺も現在の位置に移転しています。

これらの寺院の位置関係は、歴史的な出来事や都市開発を反映しています。特に満勝寺の移転は、北山五山の構成要素に変化をもたらしました。現在では、北山五山に含まれる満勝寺が丘陵地から外れているため、伊達五山と同じく福島から仙台に移り、現在も北山に残る曹洞宗の輪王寺を代わりに加える場合も見られます。しかし、これは一般的には誤用とされています。

北山丘陵の宗教施設：信仰の集積地

北山五山を含む北山丘陵一帯は、古くから宗教施設が集中する地域でした。北山丘陵から新坂通周辺、そして大崎八幡宮へと続く弧状の丘陵地には、神社仏閣、教会など様々な宗教施設が密集し、伊達家ゆかりの寺院の他に、庶民に親しまれる寺院も存在します。

この地域の歴史は、寺院の移転や神社の建設、都市開発など、様々な出来事によって形作られてきました。例えば、寛文7年（1667年）の満勝寺の移転、明治7年（1874年）の青葉神社の創建などが、北山丘陵の宗教施設の配置に大きな影響を与えました。

明治以降、近代的な都市開発もこの地域に大きな変化をもたらしました。県立宮城病院（現東北大学病院）の移転・開院、周辺の宅地化、そして戦災と戦後の復興計画などを通して、北山地区は大きく変貌を遂げました。戦災時には、多くの市民が北山五山などの寺社に避難し、一方、犠牲者の火葬も大規模に行われたと言われています。

戦後の復興計画では、北山霊園が開園され、市街地にあった多くの寺や墓地が移転されました。現在では、北山には複数のプロテスタント系教会の共同墓地である「北山キリスト教墓地」も存在し、歴史と信仰の層が重なり合う独特の景観を形成しています。

アクセス

北山五山へのアクセスは、JR仙山線北仙台駅または北山駅、仙台市地下鉄南北線北仙台駅から可能です。また、資福寺や輪王寺などには駐車場も用意されています。

北山五山と仙台の歴史

北山五山は、単なる寺院群ではなく、仙台の歴史と文化、信仰を深く反映する重要な存在です。それぞれの寺院の変遷、そして北山丘陵全体の宗教施設の配置は、仙台の歴史を語る上で欠かせない要素となっています。今後、これらの歴史的建造物を保存し、その文化的価値を次世代へと伝えていくことが重要です。

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