北島忠治

北島忠治（きたじま ちゅうじ）

北島忠治は、1901年2月23日に新潟県東頸城郡安塚村で生まれ、1996年5月28日に逝去した日本を代表するラグビー監督です。通称「忠さん」や「北島先生」と呼ばれ、彼の存在は明治大学ラグビーの歴史に刻まれています。彼は1929年から死去までの67年間、明治大学ラグビー部の監督を務め、その献身的な指導のもとで数多くの選手を育て上げました。

来歴・人物

北島は喧嘩っ早い性格から、学校をいくつか転校した後、有恒学舎中を卒業し、伯母を頼りに上京しました。彼は「坂の忠治」との異名を持つほどの喧嘩癖がありましたが、その後も旧制明治大学専門部で学びます。元々は相撲部に所属していた彼は、大学2年生の時にラグビーの助っ人を頼まれたことをきっかけに、ラグビー部に転部しました。1926年に卒業し、次第にラグビー選手としても活躍し、1928年の明早戦では主将として出場しました。

1929年に明治大学を卒業するやいなや、監督に就任しました。この時、ライバルの早稲田大学ラグビー部の大西鐡之祐とは全く異なる理論を持ち、比較されることが多かったと言われています。

戦時中の1943年、最後の7大学リーグ戦となった慶立戦でレフリーを務めた後、戦後も大学ラグビーの発展に力を尽くしました。1944年には身体的に厳しい環境の中、故郷の新潟に戻り、食糧確保のため自ら作物を植え、復興した部員たちのために尽力したのが印象的です。名門ラグビー部の再建には、彼の強い意志と努力が不可欠でした。

占有的な監督が多い中、北島は練習では選手に多くの判断を委ね、しかしながら手抜きは決して許しませんでした。彼が目指したのは、人格の陶冶であり、社会に恥じない人間づくりです。この理念を実践するため、部員たちに厳しい練習や規律を課しながらも、その温かい人柄で信頼を得ていました。

練習方法と哲学

北島の監督としてのスタイルは、徹底した実戦形式のトレーニングに特徴づけられました。「最後まで諦めるな」「躊躇せず突進せよ」「勇猛果敢たれ」「全速力でプレーせよ」という合言葉のもと、彼は練習をまるで肉弾戦のように激しく行っていました。

練習は非常に厳しく、ランダムに選手を指名し試合形式での練習を行う一方、タックルを何時間も続けさせるなど、実戦的な要素が強調されました。また、部員たちには厳しい生活のルールが敷かれ、上下関係が厳格に守られる環境がありました。それは時には「くだらない」ことと思われることもありましたが、全てはより良いチーム作りのためでした。

北島の指導の下で育った1300名の部員たちは、彼のフィロソフィーに基づいて成長し続け、今日のラグビーシーンに多大な影響を与えています。彼の死後も、その教えや人柄は試合やラグビー部において色濃く受け継がれています。彼の臨終の言葉である「明治、前へ…」は、彼の生き様を象徴するものとして、今も多くの人々に語り継がれています。北島忠治の信念や教育は、ラグビーのみならず、彼に関わった多くの人々の人生にも深く根付いています。

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