北朝鮮によるミサイル発射実験 (2017年8月)

2017年8月の北朝鮮ミサイル発射について

2017年8月29日、北朝鮮が実施した弾道ミサイル発射は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）による重要な軍事的行動でした。この発射は、平壌時間で5時27分から28分頃に行われ、日本時間ではちょうど5時57分から58分ごろに該当します。北朝鮮は、中距離弾道ミサイル「火星12」を使用したことを自ら公表し、その後、ミサイルは日本の北海道上空を経て襟裳岬近くの太平洋上に落下しました。

発射の背景

このミサイル発射は、8月26日に行われた北朝鮮のミサイル実験の続きであり、日本上空を通過したのは2016年2月以来のことで、これまでに合計で5回目の出来事でした。特に注目すべきは、今回の発射が事前に方向を予告されなかった点であり、これはこれまでの慣例とは異なるものでした。

8月9日には、北朝鮮が米領グアムを攻撃する計画を検討していると発表しており、これに対する国際的な反応が強まりました。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、軍事的解決に向けた準備を示唆し、北朝鮮に対して警告を発していました。

これに対して金正恩委員長は、アメリカの動向を見守る姿勢を見せ、一時は態度を和らげたように見えましたが、米韓合同軍事演習を受けて、北朝鮮は発射を決定したとされています。この発射は、圧力に屈することなく北東方向へと向けられました。

ミサイルの詳細

発射されたミサイルは、5時58分頃に北朝鮮の西岸から発射されました。このミサイルは北東へ進み、6時6分ごろには北海道の襟裳岬上空を通過したと考えられています。ミサイルは三つに分割され、6時12分頃には襟裳岬の約1180キロメートル沖の太平洋上に着水したとされています。北朝鮮は、このミサイルが「火星12」であることを翌日に公表しました。

火星12は、同年の5月に初めて成功したミサイルで、高度2100キロ、水平飛距離800キロのロフテッド軌道での発射実績がありますが、8月29日の発射は比較的低い高度で行われ、高度550キロ、水平飛距離2700キロという結果でした。

日本政府の対応

ミサイル発射の情報は、発射からわずか4分後に日本政府から公表され、全国の瞬時警報システム（Jアラート）を通じて、多くの地域に警告が発信されました。具体的には、北海道や青森県、岩手県などを含む11の県が警報の対象にされました。安倍晋三首相は、北朝鮮の行動を深刻な脅威とし、国民の安全を守るための対策を講じるとの声明を発表しました。

同日、外交当局者は米国および韓国との連携を強調し、危機に対処するための協議を実施しました。また、日本の原子力規制委員会は、ミサイル発射が原子力施設に影響を与えないことを確認するために、迅速に対応しました。

発射による影響

ミサイル発射後、金融市場は不安定になり、円高が進行しました。ドル相場は109.2円から108.92円まで下落し、ユーロやポンドに対しても同様の傾向が見られました。このような市場の動きは、発射直後に大きな影響を及ぼしました。

交通機関も一時的に混乱しました。JR北海道や地下鉄など、多くの鉄道が安全確認のために運転を停止し、その後6時19分ごろに再開したものの、初動は遅れが生じました。しかし、全体的には大きな混乱は避けられたようです。各メディアも、この発射に関する特報を行い、国民に迅速な情報提供を行いました。

国際社会の反応

国際社会においては、さまざまな国が北朝鮮の行動を非難しました。国連では緊急の安保理会合が開催され、北朝鮮のミサイル発射を非難する声明が全会一致で採択されました。オーストラリアやフランスをはじめとする多くの国が、この挑発行為を反対しました。特にアメリカは、北朝鮮による行動を侮辱的であると指摘し、すべての選択肢を排除しないとストレートに述べました。

このように、8月29日の北朝鮮によるミサイル発射は、日本と国際社会において深刻な影響を与える出来事であり、その後の安全保障問題に関する議論が増大するきっかけとなりました。

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