北朝鮮人民委員会

北朝鮮人民委員会の概要

北朝鮮人民委員会（北朝鮮：临时人民委员会）は、朝鮮の連合軍が軍政を敷いていた時期に設立された行政機関で、主に北緯38度線以北の地域を統治しました。この機関は、ソビエト連邦の占領行政機関であるソビエト民政庁の上部組織として機能し、後に成立する朝鮮民主主義人民共和国の基盤となりました。本記事では、北朝鮮人民委員会の前身である北朝鮮五道行政局や臨時人民委員会についても触れます。

沿革の概要

1945年8月15日、対日降伏の報が国中に広まると、南北朝鮮では自発的に朝鮮人による行政機構の構築が行われました。特に、朝鮮建国準備委員会（建準）は、積極的に支部を設立し、組織的に活動を展開しました。1945年9月6日には、朝鮮人民共和国の建国が宣言され、京城府の本部は「中央人民委員会」、地方の支部は「人民委員会」と改称されました。しかし、アメリカ軍政が成立したことで、南朝鮮における人民委員会は解散され、その一方でソ連軍は北朝鮮に進駐し、各地で社会主義者や民族主義者との連携を図りました。

組織化が進まぬ中、ソ連軍は1945年10月にソビエト民政庁を設立し、北朝鮮の行政を担う「北朝鮮五道人民委員会連合会」を設立しました。これにより、地方機関の統一が図られ、1946年11月には「北朝鮮五道行政局」が成立しました。ソ連軍はこの期間中、共産主義系の運動組織の包容や非協力的な民族主義者の排除を進めていきました。特に、金日成が重用され、彼の影響力が強まっていきました。

1946年2月8日、「北朝鮮臨時人民委員会」が設立され、行政局を取り込みながらソビエト民政庁の業務を引き継ぎました。金日成が委員長に就任し、社会主義体制への移行が本格化しました。この時期には、土地改革や重要産業の国有化、男女平等の推進などが行われました。

正式な政府体制の確立

北朝鮮臨時人民委員会は、立法組織と行政組織の両方が併存しており、未熟な面がありました。そこで、1946年11月には立法府の議員を決める総選挙を実施し、1947年には「北朝鮮人民会議」が新設されました。この結果、北朝鮮人民委員会は再編成され、正式な政府体制が整いました。

1948年5月、南朝鮮での単独総選挙を受け、北朝鮮は新しい政府樹立を急ぎ、同年9月には朝鮮民主主義人民共和国を正式に成立させます。このことに伴い、北朝鮮人民委員会は金日成の下、人民共和国政府として機能し、最終的に消滅しました。1948年10月にはソ連がこの新政府を承認し、ソ連による軍政は公式に終了しました。

組織構成

北朝鮮人民委員会は、人民会議によって委員長が選出され、各局部長は人民委員会の定義に基づいて決定されます。

• - 委員長：金日成
• - 副委員長：金策、洪箕疇
• - 事務長：韓炳玉
• - 企画局長：鄭準沢
• - 産業局長：李文煥
• - 農林局長：李舜根
• - 財政局長：李鳳珠
• - 教育局長：韓雪野

このように、北朝鮮人民委員会はエネルギー政策や経済政策、教育政策など多岐にわたる分野で影響力を持つ重要な機関となっていきました。彼らの政策や取り組みは、北朝鮮社会の基礎を形作る上で大きな役割を果たしました。

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